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北の都の悲劇〜沢渡ほのか・被虐の撮影会〜
堕天使/文


  それは、気の遠くなるほどの時間だった。

  実際には、ほんの半々日にも満たぬ時間だったろうが、ほのかにとっては何十倍にも感じる時間だった。秒針の動きの一つ一つが遅い。1分どころか30秒、いやさ10秒ほどの時間さえもが、過ぎ去ることを拒むかのようにそこへ蟠っているかのように錯覚させられる。

  唯一自由になる休み時間に、どこか人目のない所へ移動しようかと考えた。しかし少しでも体を動かすと、それだけで『それ』が襲ってくる気がした。結局、ひたすら自分の席にうずくまり、耐えるしか道は無かった。

  自然と汗が滲み出し、それが見つからないかという極度の緊張がさらに汗を流させる。そんな最悪の循環に弄ばれたほのかには、まだ一日の半分すらも終わっていないのであった。

 

 

 (早く…………早く…行かないと……………)

  ほのかの意識は、ただひたすらその言葉だけで埋め尽くされていた。いや、今のほのかの身体は、他のことを考える余裕などありはしなかった。追い詰められた精神はただただ思考を単純化させる。

  抑えきれない焦燥と衝動が、無意識の内に足を速めさせる。時折足をもつれさせ転びそうになるが、何とか持ち直し、再び歩を進める。

  ――一刻も早く、あの場所へ……。

  それはまるで呪文のように、ほのかの全てを支配する。だが、ほのかはそれに抗いはせず、むしろその声を甘受していた。いや、せざるをえなかった。受け入れなければ、それよりも辛い想いをしなくてはならなくなるかもしれない。

  息も絶え絶えに歩き続けるほのか。やがて、その視界に光が差し込んだかに見えた。そう、目的の場所が見えてきたのだ。

  思わずこぼれる安堵の吐息。その瞬間、張り詰めたものが全て途切れ、身体中の力が抜けていく。がくがくと膝が震え、ほのかはその場に崩れこんだ。

 

 

 「やあ、ほのか。結構早かったね」

  ふらふらとした足取りで、それでも無理に早足で歩こうとしている少女に、青年は何も気にしないかのように声を掛けた。その青年の姿を認めると、ほのかは僅かに溜め息をつき、そのまま膝から崩れ落ちる。

 「をっと」

  青年はすかさずほのかのもとに小走りで駆け寄ると、両肩を抱きとめて支えてやる。まったく身体に力の入らないほのかは、その青年の身体に全てを預けた。

 「はは、ふらふらじゃないか。そんなに辛かったかい?」

  苦しんでいるほのかの気など知らぬかのように、男の声はあくまでも朗らかだった。ほのかはがくがくと膝を震わせたまま、まったく動けない。何とか力を入れようにも、腰が抜けたままだ。

 「なんとかしてほしいかい?」

  男の囁くような問いかけに、ほのかは弱々しく頷く。

 「よし、それじゃあ早く行こうか」

  ほのかが再び頷くのを確認すると、彼女の体を支えたままゆっくりと歩き始める。ほのかも、導かれるままに男につられて歩きだした。

  その光景は、まるで寄り添いあう恋人のようにも見えた。

 

 

 「さ、ほのか。最初の仕事だよ」

  そう言って男が差し出したのは、市販の首輪だった。どこにでもあるありふれたその首輪を、ほのかは丁寧に受け取る。それをおずおずと首元に持っていくと、たどたどしくもどこか慣れたような手つきでそれを付け始める。

  犬や猫のように首輪を嵌めたほのかは、フローリングの床に座り込んでいた。涙で潤んだ瞳で見上げ、太腿をこすり合わせてそわそわしているその姿は、とてつもなく扇情的だ。

 「なんだい、ほのか?」

  ほのかの心の中を全て見透かしたかのような瞳で男は尋ねる。

  だがほのかはそれに答えず、僅かに視線を落とし俯いた。そのほのかの表情を覗き込むように、男はさらに声をかける。

 「はっきり言ってくれないとわからないよ、ほのか」

  二度目の問い掛けに、ほのかはようやく応じる。両手を支えに、僅かに後ろへ体を倒しながら、ゆっくりと両足を開き始める。僅かな衣擦れの音とほのかの吐息だけが、他に音の無い部屋に響き渡る。

  朱色のミニスカートの中には、何も穿いてはいなかった。いや、何も無かった。下着だけでなく、秘部を覆い隠すはずの陰毛すらも、まるで幼子のそれのように1本たりとも生えていなかった。

  剃られた跡の生々しい無毛の恥丘の中心部には、妖しくうねる黒いバイブが埋め込まれていた。ほのかは僅かに腰を浮かし、股間に埋め込まれた物を突き出すようにしながら口を開く。

 「や、約束通り、一日我慢しました。だ、だから…だから早く抜いてください、ご主人様ぁ……」

  おどおどと喋るほのかの声は、僅かに涙声が混じっていた。

  男はそんなほのかの言葉に何の動きも見せず、ただ冷淡に問う。

 「本当に、一日中入れてたの? 風呂の時とか、体育の時間はどうしてた?」

 「お、お風呂の時は、そ、そのまま入れてました。た、体育の時間、は、せ、生理だって言って……」

 「ふぅん、休んだんだ。本当なら、そのままやってほしかったんだけど」

 「い、いやぁ、それだけは……」

  ほのかの目尻に溜まっていた涙の量が更に増え、それが頬を伝い始める。ほのかの目と鼻の先まで顔を持っていくと、男は人差し指でその涙を拭う。

 「ふふ、冗談だよ、ほのか。まだ調教始めて1ヶ月ぐらいしか経ってないんだから、そこまで無理強いはしないよ。むしろ、1日中入れ続けてくれたことを喜ぶべきさ」

  男の声は、あくまで優しかった。だがその優しさとは別のなんともいえない妖しさが耳から入り込んでくる。

  男はバイブのスイッチを切ると、端をつまんでゆっくりとそれを引き抜く。それもただ引き抜くだけではなく、たまに少しだけ戻したり円を描くように膣壁にバイブを満遍なくこすらせながら、焦らすように抜いていく。

 「ふぁ……あっ…やっ」

  どこかうそ臭ささえ感じるその優しい刺激に、ほのかは反射的に甘ったるい声をあげる。悶えるほのかの様子を眺めつつ、男はバイブを抜きさった。

 「はうっ」

  バイブのカリの部分が抜ける際、それまでよりもやや強めの刺激が下腹部に走り、僅かに背を仰け反らせる。

  1日ぶりに外気にさらされたそのバイブには、妙に粘り気を帯びている液体でたっぷりと濡れていた。

 「ふふ、弱めのバイブでもこんなにいやらしい汁が出ちゃうんだ。ほのかもだいぶ肉奴隷として出来上がってきたね」

  男の感想に、ほのかは何の反応も見せなかった。仰け反らせた背中はそのままに、今まで入れ続けていた異物の余韻と、それがなくなった開放感とに浸っていた。

 「ほのか、呆けてる場合じゃないよ。さっ、次の仕事だよ」

  男は自らのベッドに腰掛けると、誘導するように少し足を開いた。

 「ほら、時間がないんだから、早くしなよ。それとも、次に何をするか、もう一度教え込まなきゃ駄目かな?」

  ほのかははっとしたように意識を取り戻し、すぐさま男の前に土下座するように跪く。

 「す、すいませんご主人様! 憶えてます! すぐやります! だから…だからもう……もう……」

  床に額を擦り付けながら大声で哀願するほのか。

 「いいよ、もう。憶えてるなら、早くやりな」

 「は、はい!」

  ほのかはすぐに顔を上げると、四つん這いで男のもとに駆け寄る。男の両足の間に潜り込むと、ズボンのジッパーを開けて男のモノを取り出す。それを2・3回上下に軽くしごいた後、少し戸惑いながらそれを口に含んだ。そのまま拙いながらも舌を使い、ゆっくりと根元まで呑み込んでいく。

 「ふふ、だいぶ慣れてきたね、ほのか」

  己の股間に顔を埋める少女の髪を優しく撫でる。その下では、ほのかが口の端から淫靡な音を漏らしつつ決して上手いとはいえないフェラを繰り返している。

  教え込まれた行為を順番に行うように、ほのかの頭が少しずつ上下に動き始めた。その動きを抑制しないよう、頭の動きに添うように揺れるリボンや柔らかい髪を指に絡め、櫛を通すように撫で続ける。

 「うっ………くちゅ……じゅぷ……うっ!」

  しばらくすると、ほのかは男根を咥えこんだままくぐもった呻き声をあげる。そしてすっかり動きのなくなったほのかの顔に手を当て、男はゆっくりと自分の方へと顔を向かせる。

  ほのかは虚ろな瞳で、こちらを見つめていた。いや、こちらの方角に視線を向けていた。そんなほのかの顎に指を添え、僅かに顔を上へ向かせる。

 「口、開けてごらん」

  男の言葉に従い、半開きになっていた唇をすこしずつ開いていく。桜色の唇の向こう側には、先ほど男のモノから注がれたと思しき白濁液がほのかの舌を覆い隠さんほどに溜まっていた。

 「よしよし、今日はこぼさなかったね」

  幼子でもあやすかのようにほのかの頭を撫で、優しく唇を閉ざす。そして、次の命令を口にする。

 「せっかく全部受け止めれたんだ、美味しそうに飲んでくれよ」

  優しく髪を撫でられながら、ほのかは数瞬の躊躇の後、喉を鳴らして口内に溜まった精液を飲み下していく。それをモノをズボンの中に収めながら満足気な表情で眺め、全て飲んだ頃合を見計らってほのかの体を抱え、ベッドの上に持っていく。

 「あっ……」

  四つん這いの体勢をとらされ、スカートを捲られる。再び下半身が外気に晒され、ほのかは今更のように声をあげ、頬を染めてうつむく。

  そんなほのかの反応を楽しみつつ、男は剥き出しになったなだらかなヒップを触れるか触れないかの微妙なタッチで撫でつつ無毛の陰部に指を運んでいく。

 「ひゃっ…! ああっ……」

  臀部のじれったい感触と敏感な部分への刺激をほぼ同時に与えられ、ほのかの口から微かな喘ぎ声が漏れる。

 「おや、なんだいこれは?」

  陰裂を一撫でした男の指に、粘ついた感触が残る。男は尚も尽きないその粘つきの元を掬い上げ、指先で弄ぶようにくちゃくちゃと音を立てて粘つかせる。

  音を立て糸を引くその液体を、更にもう少しだけ掬ってほのかの目の前で再び弄び始める。

 「さっきも、バイブに一杯付いてたよね? すごく糸引いてるよ」

  自分の股間から溢れた液体が、男の指にねちゃねちゃと絡み付くその光景に、ほのかは反射的に目を背ける。男はすかさず、その指先を今度はほのかの耳元へ持っていった。

 「ほら、こんなに音立ててるよ? 何かな、この汁は?」

 「あぁ………」

  ほのかは観念したかのように唇を震わせ、吐き出すようにゆっくりとその言葉を吐き出した。

 「こ、これ…は……」

 「ん? これは、何?」

 「これは……ほのかの…エッチなお汁です」

 「ふぅん、そうなんだ。じゃあ、これはどこから出てきたの?」

  2度もそこからほのかの愛液を指に絡めたのだから、男はその答えを知っている。だが、男はほのか自身の口からその答えを聞きたいのだ。出会った時から、この男はそうだった。

 「ほのかの、いやらしい所からです……」

 「それは…どこなの? 名前を言ってくれないとわからないよ」

 「…………オ、オ○ンコ」

 「ん? 聞こえないな。もっと大きな声でもう一度言ってくれるかな?」

 「ほ、ほのかのオ○ンコです! ほのかのいやらしいオ○ンコからです!」

  年頃の少女が淫猥なセリフを口にするのは、とんでもない羞恥だ。その羞恥心を振り払うかのように、ほのかはその清純な外見からは想像できないような淫猥な言葉を叫ぶ。

  普段なら問答無用で学園のアイドルと呼ばれても良い美少女が、犬のように首輪を嵌められ四つん這いにされ、卑猥な言葉を口にするその姿は、これ以上なく扇情的だ。

 「ふぅん、これはほのかのとってもいやらしいオ○ンコから溢れてきてるんだ。じゃあ、何でほのかのいやらしいオ○ンコから、こんなエッチな汁が溢れ出てきたのかな?」

 「あぁ…それは……」

  ほのかの頬がこれ以上ないくらいに赤く染まる。しかし、いくら拒んでも、すでに戻れはしない道へとほのかは足を踏み入れていた。

 「ほのかは、エッチで、淫乱で、いやらしい女の子なんです……だから…だから、バイブを入れただけで感じて、エッチなお汁が一杯出ちゃうんです」

  先ほどよりも比べ物にならないぐらいの卑猥な言葉は、それよりも割とすらすらと出てきた。普通の少女にはとても想像のつかない理不尽な現実に、精神がだんだんと蝕まれていく。

  要求通りに恥ずかしいセリフを言い終えたほのかを抱え上げ、あぐらをかいて膝の上に乗せる。身長160cmのほのかの体は、雰囲気のせいか男の腕の中ではそれ以上に小さく見える。

  ほのかの体を抑えるように、男は衣服の隙間に手を潜り込ませ、ほのかの柔肌を摩り撫でる。その僅かな刺激にさえも、ほのかは小さな声をあげる。その愛撫に気をとられている隙に、空いた手を無防備なスカートの中に潜り込ませ、泉のような秘裂へと人差し指を突き入れた。

 「ああっ!」

 「そんな大きな声出しちゃって、やっぱりほのかはただの淫乱だね。ほら、ここなんかもういやらしい液しかないんじゃないかい?」

 「あっ、ふあぁぁぁぁぁっ!」

  膣口をなぞるようにかき回す指の動きに背を仰け反らせて喘ぐ。焦らすような指の動きに敏感な反応を示し声を出すその姿は、最初の恥らう姿が逆に作り物のように感じられるほどの変わりようだ。

  上下左右に、指の関節の限界ギリギリまで利用した不規則な動きは、蛇のようにほのかの敏感なところを刺激していく。膣を責め立てる以外の指は、陰唇や肉芽を思いのままに弄び、時折中指まで膣に差し込んで2本同時で責めたりもする。制服の内側を這いまわる指も、まだ膨らみかけの乳房やすっかり硬くなった乳首などを中心に、秘所とは違う焦らすような動きで愛撫を続けていた。他にも、耳元で言葉を囁き、隙あらば首筋や耳に舌や唇を這わせている。耳の穴に舌を差し入れて舐めてやると、嫌がりながらも口からは甘い吐息をもらす。

  男は自分が今出来るすべての行為でほのかを責め立て、ほのか自身もそれの一つ一つに敏感に反応し、切ない喘ぎ声をあげる。

 「ねえ、ほのか」

 「は、はい……んああああっ!」

 「ほのかは、俺の奴隷だよね?」

 「はい…あっ! ほのかは……ご主人様のやんっ! に、肉奴隷です…やあん!」

 「ほのかは、ただの淫乱だよね?」

 「はい、そうで…んあぅ! ほのかは…やっ…ほのかは、淫乱な雌犬ですっ!」

 「うん、そうだよね。じゃあ、とってもエッチで淫乱なほのかは、とてもこの程度じゃ満足できないよね?」

  男の発した言葉に隠された意味を、ほのかは明確に感じとっていた。いや、感じ取ったのではなく、それはほのか自身が望んでいたことだ。最後のひとかけらの羞恥心に押さえ込まれていた淫望を、男はその言葉だけで引きずり出そうとしていた。

  すでに体を火照らせていたほのかは、何の迷いもなく首を縦に振った。

 「じゃあ、いつものようにお願いをしなきゃ、ね?」

  悪魔の如きその囁きに、ほのかの唇が動く。そこから漏れる吐息と一緒に理性の奥底にこびり付いていた羞恥心が全てこぼれ落ちた。

 「あぁ、ご主人様…お願いします……ほのかのいやらしいオ○ンコに、ご主人様のオ○ンチンを入れてください…お願いします」

  可愛らしい唇から淫猥なお願いのセリフが紡ぎだされた時には、ほのかに対する全ての責めが止んでいた。支えを失ったほのかは前のめりに倒れこみ、両手で体を支えて再び四つん這いになった。震えるようにゆっくりと突き上げられた下半身の中心にある陰部は、ほのかの言葉どおり「早く入れてください」と言わんばかりにひくひくと口を半開きにしている。

  再び男はズボンのファスナーを開き、滾った己の分身をすっかり濡れそぼったほのかの陰唇に押し当てる。そのまま陰唇をなぞるように亀頭の先端をこすりつける。

  焦らすようなその動きに、ほのかは更に頬を紅潮させ挿入を催促するように腰をくねらせる。5分ほどその動きを続けた後、男はほのかの腰を掴み、膣口に亀頭を当てる。

  挿入直前の雰囲気を悟り、ほのかの体から余分な力が全て抜ける。その様を、征服感にみちた瞳で見下し、男はほのかを貫いた。

 「んっ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

  男がほのかに興味を持ち始めたのは、ほんの3ヶ月ほど前だ。今までは、男はほのかのことを男性恐怖症の美少女としか見てなかった。確かにほのかの容姿は人目を惹くほど美しいが、ただそれだけだった。確かに、今時男性恐怖症というのは珍しい部類に入るだろう。だが、それ以外はいたって平凡だ。

  そんなほのかを見る目が変わったのが、ほのかに彼氏がいるらしいという話を聞いた時だ。あの極度の男性恐怖症のほのかが彼氏を持ち、しかもその彼氏とは遠距離恋愛中だということだ。ほのかみたいな少女が彼氏を作ったとなれば、ほのかは相当その男の事を想っているはずだ。遠距離恋愛が続くともなると、彼氏の方もほのかのことを相応に想っているはずだ。

  その瞬間、男の中で何かが弾けた。そんな二人を引き剥がした時の表情を見てみたいと思った。続いて、頭の中に流れる誰のものとも知れない声。ほのかを征服しろ。ほのかの全てを奪い取り、その男に見せつけてやれ、と。

  後は、非常に簡単だった。一人になったところを拉致し、手足を拘束して恥ずかしい写真を撮りまくった。後日その写真をネタに呼び出し、その体が誰のものかを直々に叩き込んでやった。淫行を重ねる度にほのかの身体はだんだんと従順になっていき、その身体を襲う快楽は容赦なくほのかの心を蝕んでいった。今ではほのかの体は完全に男の虜になり、心も淫らに染まりかけている。ほのかが遠く離れた彼氏と培ってきた時間の半分も掛けずに、男はほのかのほとんどを手中にしていたのだ。

 

 

 「じゃあ、今日はちょっと散歩に出るよ」

  それが、ほとんどの人が寝静まるだろう真夜中に男が切り出した言葉だった。

 

 

  時間は、すでに日付が変わって間もなくといった感じの時間帯。人の流れはまったくなく、時折車が走り去っていくぐらいだ。

  そんな昼とはまったく別世界となっている街を、ほのかは散歩させられていた。一糸纏わぬ姿で、首輪を嵌められ男に手綱を握られ、犬のように四つん這いで。人目に触れればただじゃすまない格好だということは、ほのかも十分理解している。そのことがほのかの羞恥心を痛め嬲り、そしてそういう状況に置かれているにも関わらず愛液を溢れさせている自分に絶望する。

  散歩というのは、ほのかの一番嫌いなものだった。男の部屋で淫靡な行為に耽ることには、すでに抵抗することはなく逆にそれを受け入れている。しかしこうして見知らぬ赤の他人に痴態を見られるかもしれない状況は、外面では変わらぬ日常を送っているほのかには非常に抵抗のあるものだった。だがほのかに男の命を拒否する権利などは、もはや欠片も残っていなかった。

 

 

 「さ、ここだよ」

  そう言って男が足を止め、ほのかのその歩みを止める。アスファルトの路面やその上に散らばっている細かい石などの上を何も付けずに歩いてきたため、手の平や膝がジンジンと痛む。

  誰かに見られているかも、という疑念に圧されながらも、ほのかは顔を上げて辺りの景色を見回した。

  男が立っている場所、そこは札幌ではあまりにも有名な観光名所でもある時計台だ。もっとも、こんな深夜では扉も硬く閉ざされ、時刻を指し示す針が刻々と時を刻んでいるだけだった。

 「じゃあ写真とるから、準備して」

 「えっ?」

  一瞬、自分の耳を疑った。信じられぬその言葉に男の表情を窺おうと振り向いた時、男の手にはポケットサイズのデジカメが握られていた。

 「確か、2ヶ月ぐらい前かな? ほのか、前の彼氏と電話で言ってたよね、今度札幌の街案内するって」

  ほのかの表情が、いや全身が強張る。今度遊びにくる時はゆっくりできる、と聞いてほのか自身が発した言葉だ。男がほのかの会話を盗聴していたのは、調教され始めた頃に聞かされていた。その事をネタに今新たな恥辱を受けようとしているのだ。

 「泊まりでもしない限り、夜の札幌っていうのは見られないだろ? そう言うところは、こうやって写真と一緒にちゃんと説明した方がいいだろ?」

  全裸でいることとは関係なく、全身を悪寒が走る。男が『その言葉』を口にしないことをひたすらに願い、硬く瞼を閉じる。だが、その期待はあっさりと裏切られた。

 「だから、さ。ほのかが一緒に写った特性の写真で紹介してあげようよ、その元彼に。前の彼氏に、今のほのかのご主人様である俺からのプレゼントさ」

 「あ、あぁ……」

  予想通りの、いや予想以上に酷な仕打ちに、もう全てを諦めかけていたほのかの瞳から、今更の涙が溢れ頬を伝っていく。そう、もうほのかはこの男の所有物となんら変わりない存在に調教されてきた。彼に捧げるために護り続けてきた処女をあっさりと散らされ、ひとたびこの男の元を離れれば二度と普通の生活を送れないような過酷な罰を与えられる。男の一つ一つの動作がほのかの自由を縛り上げ、すでに抜け出せない底無し沼に肩までどっぷり浸かってしまっている事を改めて再認識させられる。

  男はほのかの手綱を引っ張り、ほのかを石段の上に登らせる。プレートが貼られた、記念撮影用に設えられた2・3段の小さな石段である。そこにM字に足を開いて腰を屈めたほのかは、男に指示されぎこちのない笑顔を浮かべる。しかしそれでも満足できないのか、男は首を傾げていた。

 「……どうも、アクセントが足りないなぁ……」

  そう呟いて、持ってきた小さな鞄の中からピンク色のバイブを取り出した。それをほのかに秘所に捻じ込むと、スイッチを入れる。するとバイブは規格通りの動きを開始すると共にその全身に淡い輝きを発する。

 「あっ……」

  暗闇の中、ピンクに発光しながら妖しくうねるそのバイブは、ほのかの羞恥を仰ぐアクセントとしてはこれ以上にない効力を発揮している。先ほどまで作っていた笑顔が消え、ほのかの視線は股間のピンクの物体に注がれる。

 「さ、撮るよ。ほら、笑顔笑顔」

  軽く声を掛け、男はデジカメのシャッターを切る。それと同時に、メモリーにほのかの痴態が書き込まれた。

 「あぁ……」

  全身の力が抜けへたり込むほのか。

  しかし、男はそんなほのかに更なる過酷な仕打ちを与える。

 「休んでる暇はないよ。さあ、次のポーズだ」

 

 

  そうして、デジカメのメモリーには時計台をバックにほのかの様々な痴態が焼き付けられていった。

 

 

 「まだ少し時間あるから、もうちょっと近くも回ろうか」

  残った理性をずたずたに引き裂かれてへたり込んだほのかに、男が掛けたのはそんな言葉だった。手綱を引いて歩き出した先にあるのは、札幌のもう一つの観光名所であるテレビ塔の目の前に続く大通公園だった。時計台から歩いて数分のところにあるその公園には、区域の一つ一つに噴水や彫像、子供たちの遊び場など様々な特徴ある建造物が中央に設えてある。

  平日休日関わらず人の波が行き交うその公園には、さすがに時間帯が時間帯だけに人の影はまったくなかった。ただ、公園のほとんどの場所に備え付けられている木のベンチの所々には、住む家のないホームレスたちが各々横になって夜風にその身体を晒していた。

 「うん、今夜は後一個ぐらいかな?」

  腕時計で時間を確認し、男は大通り公園の中程にある大通公園5丁目で立ち止まる。その男の視線の先には、様々なイベントで利用されるステージがあった。

  長方体の一面を切り取ったようなそのステージは、左右奥に袖代わりにそのまま切り取ったような長方形な穴が空いており、ステージの手前には5段ほどの小さな石段がある。もっとも、それを使わなくても膝よりも低い位置にステージの床があり、今いる場所から少し足を上げるだけで登れるようなたいした事のない段差だ。

  このステージは、大通り公園では数少ない屋根を持った建造物で、雨の日は浮浪者たちがここを利用するためこの近くには比較的浮浪者が多い。幸い、今日は晴れているので、ステージの上は端に一人の中年の男が寝ているだけだった。

 「さあ、登って。今夜はこれで最後だから」

  最後という言葉に励まされ、ほのかはゆっくりとステージに登る。

  先ほどの時計台と同じように両手で体を支え、秘所を見せつけるように腰を突き出しながらM字に開脚する。そこで男は、鞄から再びバイブを取り出した。新たにクリバイブが取り付けられた、先ほどと同じ機能を有しているピンクのバイブだった。スイッチが入ったそれを押し込まれ、クリトリスにそれがあたった瞬間ほのかは小さな声をあげた。

 「ふふ。そうだ、もう1本あげるね」

 「えっ……?」

  そう言って、男はもう1本バイブを取り出した。やはり同じタイプのピンクのバイブ。しかし明らかにその太さは、時計台で入れられたバイブよりも二周りは大きい代物だった。

 「前の穴は……塞がっているようだね? じゃあ、こっちかな?」

 「そっ、そこは……!」

  有無を言わさず、男は極太バイブをほのかのアナルに捻じ込んだ。

 「ああぁぁぁぁっ!」

  あまりの太さにアナルが一時的に拡張され、痛みからくる悲鳴をあげる。その瞬間、心臓が跳ね上がると共に両手を口に当て、ゆっくりと視線をステージの端で寝ている浮浪者に向ける。幸い浮浪者にこれといった動きはなく、自然と安堵の溜め息がこぼれ出た。

 「はい、チーズ」

  男の指がシャッターを切り、そうして焚かれるフラッシュにびくびくとしながら、ほのかは続けて様々なポーズを取らされる。正面を向くようなポーズの時には、ほのかは男には目を向けずその背後の緑のベンチの群に視線を向けていた。

  だが、写真も5枚6枚と撮られている頃になると、ほのかにある錯覚が訪れる。その錯覚とは、男の背後にある緑のベンチにいつの間にか観客が座っている錯覚。その人々は、全員ほのかの知人だった。そして最前列の中央には、数年間慕い続けた彼の姿があった。

 「あ……ああぁ…………」

  叫び声をあげるわけにもいかず、ほのかは半開きの口から悲しみの嗚咽を漏らし、頬には先ほどの量を凌ぐ涙が流されている。

 

  その十数分後、ほのかの恥辱の撮影回は終わった。

  ほのかの心の中から、大切な何かをまた少しずつ抉り取って。

 

 

 「まだだよ、ほのか。絶対逃がさない。君は俺の、ペットなんだから」

 

 完

 


解説

 コギト様、DDD2周年おめでとうございます。

 気がつけば掲載SSの数も4桁を超え、まさに止まるところを知らないDDD、これからもますますのご成長を、一投稿作家として願っております。

 

 

 

 さて、今回の作品。

 1周年記念の時と同じ、新ジャンルに手をつけてみました。調教モノなんて初めてで、どこまで書けているかわかりませぬが、ここまで読んでくださった方々、ありがとうございまする。

 気がつけば、シーラSSに並ぶ長さになってしまいましたw

 もうちょっと札幌の名所増やそうと思ったのですが、さすがに全裸のお散歩でそんなに離れるわけにはいかず、結局は2大名所である時計台とテレビ塔(のある大通公園)となりました。

 上手く描写できたかどうか、かなり不安ですw

 

 

 そういえば、最近初期のような残虐もの書いてないことに気付く……。

 最近ソフトなものが続いたから、そろそろ残虐・虐待モノを………と思っているのですが、まだしばらく先のことになりそうです(汗

 そういう系統を期待している方、非常に申し訳ございません……(汗

 もうしばらくお待ちを……その暁には、またあの4人を活躍させます。

 ブランクがあるので、更にパワーアップしているでしょうw

 

 以上。後書きでした。

 


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