| free hosting image hosting hosting reseller online album e-shop famous people | ||
![]() ![]() |
||
『よう、蘭。元気か?』
受話器から聞こえたその懐かしい声に、高校から家に帰り着いたばかりの少女・毛利蘭は、自分の耳を疑った。
それから一瞬の間を置いて、段々と込み上げてくる嬉しさを抑え付けながら、幼馴染の工藤新一に言い返す。
「新一こそ、私がいなくて寂しかったんじゃないの?」
『へっ、馬鹿言ってんじゃねえよ』
そんな会話をしながらも、蘭は、本人も気付かない内に笑顔になっていた。
密かに思いを寄せる相手との久し振りの会話が、嬉しくない筈はない。
『ところでお前、明日は暇か?』
「え?うん、大丈夫よ。何?」
『蘭に渡したい物があるんだ。昼頃に博士の家に来てくれねーか?』
「別にいいけど……なんで博士の家なの?新一の家でいいじゃないの」
『こっちにもいろいろと準備があるんだよ。じゃあな!』
「あ、ちょっと、新一……もう、何なのよ」
一方的に切られた事に不満を感じはしたが、明日のことを考えた次の瞬間にはもう、蘭の胸は躍っていた。
「そう、こっちにもいろいろと準備があるのよ」
灰原哀は誰にともなくそう言うと、自分のその声が工藤新一のものであることに気付き、小さく笑った。
そして、薬の作用によって縮んでしまった身体をいっぱいに伸ばして受話器を戻すと、先程まで口元に当てていた蝶ネクタイ、正確に言えば
蝶ネクタイ型変声機≠テーブルの上に置く。
「楽しみね」
そう呟いて笑う哀の表情は、小学生の身体にはおよそ似つかわしくない程冷たかった。
ピンポーン
蘭は何度かためらってから、やっとのことで博士こと阿笠博士[ひろし]の家のインターホンを鳴らした。
と言うのも、蘭が博士の家に着いたのは十一時前だったのだ。
これでは、自分を出迎えた新一に「そんなに俺に会いたかったのか?」と冷やかされること請け合いだ。
しかし、その予想に反して、ドアが開いてそこにいたのは哀だった。
「哀ちゃん……」
突然のことで蘭が言葉に詰まると、哀は「博士から聞いてるわ。どうぞ」と言って、先に立って歩き出した。
その後を蘭が付いて行く。
「ねえ、哀ちゃん。新一は?」
「まだ来てないわ」
「そう……」
(やっぱり早すぎたのかな?)
蘭がそんなことを考えている内に、応接室に着く。
哀は「飲み物、持って来るから」と、蘭を残して部屋を出る。
それを見送ると、蘭はソファーに腰を下して一つ、溜め息をついて言った。
「早く会いたいな……」
哀は、ポケットから小ビンを取り出した。
その中に満たされている液体は、哀が自らの身体を慰める時に、身長とともに低くなってしまった感度を無理矢理高めるために用いる媚薬
だった。
それを数滴、蘭のために用意したジュースに垂らす。
そして、そのコップをお盆に乗せると、それを持って蘭の待つ応接室に向かった。
哀がドアを開けると、蘭は、落ち着かない様子でソファーに座っていた。
哀が蘭の前のテーブルにジュースのコップを置くと、蘭は「ありがとう」と礼を言った。
そして、少し間を空けて哀に尋ねる。
「新一がいつ頃来るか分からない?」
「聞いてないわ」
哀はそっけなくそれだけ言うと、ドアに向かって歩き出した。
蘭は仕方なく、コップに口を付ける。
部屋を出る直前にその瞬間を目の隅で捕え、哀はまた、口許に冷笑を浮かべた。
― 十五分後 ―
「そろそろね」
自室に戻っていた哀は時計を見上げると、読んでいた本を置いて立ち上がった。
そして、楽しそうに呟いた。
「あなたはどんな声で鳴いてくれるのかしら?」
どうも、作者の何時姫(いつき)です。
今回はじめての投稿で、いきなり長編になってしまいました。
今回はまだエッチ無しですが、次回からは期待に答えられるように頑張ります。
では、この辺で。
(次からはキャラとのフリートークにしようかなあ……)