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もしも女性に優しすぎたら
汐崎 海/文


 春 ― それは始まりの季節。桜も散リ始めるころ、私立ひびきの高等学校のバレーボール部に1人の新入部員が入った。

 彼女の名前は八重花桜梨。新入部員と言っても3年生である。

 花桜梨はひびきの高校に入学して来る前、バレーボールをやっていた。

 だが、ある事件をきっかけにやめてしまった。

 ところがだ。ある同級生に過去を打ち明けたことでふっ切れたのか、今日からバレーをやり始めたのである。

 バレー部3年の渡瀬公一。彼が花桜梨の心を開いた同級生だ。同級といっても、花桜梨は前の学校を退学しているため、公一は1歳年下なのだが。

 今日もいつも通りの練習が始まる。

 

 体育館にバレー部員たちの掛け声が響く。レギュラーでない者はもちろんのこと、レギュラー選手であっても実力ある新入生にレギュラーの座を奪われまいと必至なのだ。

 (みんな、そんなにレギュラーになりたいの?)

 花桜梨は今更レギュラーになる気はなかった。だからだろう。周囲の部員たちを冷静に見ている。

 数少ないレギュラー枠を狙ってしのぎを削る。そのために練習をしている者がほとんどだ。

 もちろん、公一とて例外ではない。

 (渡瀬君・・・)

 「どうした八重! 練習に集中しろ!」

 たまたま視界に入った公一に見入ってしまった花桜梨に、間髪いれず顧問の叱咤が飛ぶ。新入部員といっても3年生なので、容赦ない。

 「はい、すいませんでした!」

 例外ではないのに、どこか他の部員たちとは違う。公一から感じるバレーへの取り組み方に、花桜梨は好感を抱いたのか? それは自分でもわからない。

 今は練習に集中しよう。そう割り切ると、花桜梨の番が来た。軽いサーブをレシーブする練習だ。

 駆け足で前に出る。と、

 フラッ・・・ドン!

 「おい、どうした? 八重!」

 顧問が呼びかけるが返事はない。何人かの部員も駆け寄っていく。

 「花桜梨ちゃん! しっかりして!」

 女子部員が彼女を抱き起こしてみるが、目は閉じたまま。脈があることから、気を失っていると思われた。

 「少々無理をしたか。誰か保健室へ運んでやってくれ」

 「それなら渡瀬が適任です。こいつがバレー部に誘ったんですから」

 「俺は誘ってないよ」

 「でも八重と仲がいいのはお前だけだろ?」

 ある男子部員の提言に公一は反論するが、顧問の決定が下り保健室へ運ぶ役を命ぜられた。

 

 (なんで俺が・・・こういうのは女子がやったほうがいいんじゃないか? そりゃさ、男のほうが力はあるけど・・・)

 花桜梨を抱きかかえ、公一は校舎の廊下を歩いていた。

 練習を休憩できるのはありがたいが、花桜梨はバレー部のユニフォーム姿である。彼女の体温が伝わってきて、「あとから色々言われるだろうな。変なこと考えてたんでしょ、とか」などと心配してしまう。ちなみに、Myユニフォームのない花桜梨は、他の部員から借りたものを着用している。

 (うぅ・・・やっぱはずかしいよ)

 公一の顔が赤いのは、練習で汗をかいたからではないようだ。

 

 「失礼します」

 保健室のドアを開けると、そこには誰もいなかった。

 「せんせー、いませんかー?」

 返事はない。

 (先生いないのか。んじゃ、ベッドに寝かさせてもらいますよっと)

 静かにベッドに横たえた花桜梨の顔を、改めて見てみる。

 (うーん。やっぱ可愛いよなぁ。それに紫の髪とお揃いのユニフォームがよく似合ってるし・・・)

 今さらのようにこんなことを思ってしまう公一。とはいえ、下心は全くと言っていいほどない。

 なぜならば、彼は女性に優しすぎたのである。

 「あら、誰かいるの?」

 「うわっ! なんだ、驚かさないで下さいよー」

 保険医の関口ようこが唐突に声を出したのである。驚かない人は鈍感どころではないと言える。

 「ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行ってたものだから。で、どうしたの?」

 「あ、彼女が練習中に気絶しちゃって・・・今日から始めたばかりなので、疲れたんじゃないかと思うんです」

 「素人考えで判断するのはいけないわね」

 ようこは花桜梨の額に手を当てたりしてみた。

 「それじゃ、俺は練習に戻るんで。練習終わったらまた来ますので、それまでよろしくお願いします」

 

 

 

 「八重さん、大丈夫かなぁ?」

 「うーん・・・俺は運んだだけだからなぁ」

 「ほんとー? 変なとこ触ったりしてないでしょうねー?」

 「してないって! 第一、俺に任せたのはみんなだろ」

 「渡瀬君って真面目だもんねー」

 練習が終わり、公一と2人の女子部員は着替えるのもそこそこに保健室へ直行した。

 「失礼します」

 保健室に入ると、花桜梨はすでに気がついていた。

 2人の女子部員は「大丈夫?」「気分悪い?」などと、花桜梨を心配している。

 「彼女なら大丈夫みたい。でも念のため、誰かと一緒に帰ったほうがいいわ。でもあいにくとご両親は留守みたいなのよね」

 「それなら、彼がいるじゃないですか」

 ようこが困っていると、背の高いほうの女子生徒がこんなことを言った。背の低いほうの生徒は「2人っきりってのはどうかなぁ」と心配気味であったし、花桜梨本人も「1人で帰れますから」と言っていたが、

 「そうね。男の子が一緒なら安心ね」

 「大丈夫よ。渡瀬君にそんな勇気ないし」

 「あ、安心ってちょっと!」

 「それもそうね。八重さん、安心して帰れるわよ」

 「だから1人で帰れるって・・・」

 結局、公一は花桜梨を自宅まで送っていくことになったのである。

 

 

 

 「今日はいきなり練習したのがいけなかったのかもね」

 「そんなことないと思う。普段から体は動かしてるし」

 「あぁ、そういえばジョギングしてるときに会ったことあったよね」

 なんだかんだいっても、花桜梨と話す公一は嬉しそうである。

 しばらく歩いて、とあるマンションの前で足を止めた。

 「うち、ここだから・・・」

 「そっか。じゃ、また明日・・・」

 と言って帰ろうとした公一を花桜梨が引き止めた。

 「お茶でも飲んでいって・・・その・・・送ってくれたお礼というか・・・」

 こんなことを言うのは珍しい。公一は、せっかく誘ってくれたんだし、ということで、彼女の家に行くことにした。

 

 「ちょっとここで待ってて」

 彼女の両親はまだ帰ってきていない。花桜梨の部屋の前で待っていると、ややあって彼女が部屋から出てきた。着替えの服を用意していたのであるが、その頬は公一を引き止めたときから紅く染まっている。

 「シャワー浴びてくるから部屋で待っててくれる?」

 「うんいいよ」

 「それと・・・勝手に私のものをいじらないでね」

 花桜梨の部屋で1人きり。まさかこんなことになるとは思っていなかったので、なんだか落ち着かない。茶系統でまとめられた部屋は、必要最低限のものしかないという簡素なものである。

 その部屋にあるものを見つけた公一だったが、その意味するところはわからなかった。

 

 しばらくして花桜梨が部屋に戻ってきた。水色のトレーナーに下はソフトジーンズである。

 「待たせてごめんなさい。コーヒーでいい? インスタントしかないけど」

 「あ、うん」

 花桜梨がコーヒーを淹れ、二人はブラックのまま一口飲んだ。苦味が二人の口の中に広がる。

 「今日は・・・ありがとう」

 「こっちこそ・・・バレー部に誘わなけりゃそかったかな、って・・・」

 「あなたのせいじゃない。私が気を抜いてたからだと思う」

 そういうと、花桜梨は立ち上がり窓に近づく。引き戸の窓を開けると、暖かい春の風が優しく吹き込み、どこからか小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 花桜梨は窓枠に両肘を付いてひびきのの街を眺めながら言った。

 「それにしてもひどい言われようだったね」

 「なにが?」

 「さっき、保健室で「そんな勇気ないし」とか言われてたでしょ」

 「・・・」

 「噂は聞いてたから驚かないけど。悔しくないの?」

 問いかけながら振り返ろうとしたとき、花桜梨の腹部と肘を何かが締め付ける。

 それは公一のズボンのベルトだった。花桜梨がシャワーを浴びている間に外しておいたのだ。

 「な、なにするの! やめてっ!」

 「俺だって優しいだけじゃないんだ! 八重さんにまでそんな風に思われたくないよっ!」

 公一の目は本気だ。保健室での一件が、「優しい人、とかいいひと、とか言われ馬鹿にされるのはもうゴメンだ」という思いを爆発させてしまったのだ。

 一方の花桜梨は・・・泣いている。なんとか公一の目を見ながらも、実際にはよく見えてはいない。

 「渡瀬君だけは信じられると思ってたのに・・・もう誰も信じられない・・・」

 「八重・・・さん・・・ゴメン!」

 公一は反射的にベルトの締め付けを緩め、部屋を出て行こうとする。

 ぐっ!

 その左手を掴まれた公一は思い切り引っ張られる。

 「んっ・・・!」

 それは一瞬の出来事だった。

 (今の・・・キス!?)

 目の前には涙に濡れた花桜梨の顔があった。

 「これが私の気持ち」

 彼女はついああ言ってしまったが、心の中は公一を信じたいという思いでいっぱいだった。

 「八重さん・・・本当にゴメン・・・あの写真はそういうことだったんだね・・・」

 「写真?」

 「実はさっき、そこの写真立て見ちゃってさ・・・」

 先程、公一が見たものは写真だった。昨年の修学旅行で行った沖縄での集合写真。クラス写真ではなかったため、違うクラスの公一と花桜梨が偶然にも並んで写っている。

 その大判の写真の2人が写っているところだけを切り取ったため、サイズが写真立てに合っていない。

 その写真立ては帰宅してすぐ、伏せておいたのだが。

 「勝手に触るなって言われたのにな。こんな俺じゃ信じられないよな」

 「うん。信じられない・・・でもね」

 俯いていた公一は「え?」という顔で花桜梨を見た。

 「写真を見たこと、正直に言ってくれたね。言わなければわからないのに」

 一呼吸おいて花桜梨は続けた。

 「優しいだけでもいいじゃない。優しいあなただから信じられるの」

 決して「好き」とは言わない彼女。でも遠まわしに好きだと言っている。

 それに気付いた公一は心を決めた、

 「俺、八重さんが・・・」

 「言わないで! その先は卒業式の伝説の鐘の下で、ね」

 公一の口からやっと出かかった言葉を花桜梨がさえぎった。

 「言わなくても・・・わかるから・・・」

 「八重さん・・・」

 「渡瀬君、優しくしてくれる?」

 「えっ? あ、うん。もちろんだよ!」

 「じゃぁ・・・抱いて!」

 顔を赤らめながらありったけの勇気を出して、彼女は言ったのだった。

 

 

 

 どれくらいそうしていただろうか。2人はカーペットに座っている。

 公一が花桜梨を抱きしめていた。ただそれだけだ。

 その腕には力を込めず、優しすぎるほどに。

 「なんだか不思議。こうしているだけで嬉しい・・・」

 「俺もだよ。八重さんの心臓の音が伝わってくる」

 窓とカーテンは閉められ、部屋には時計の音しかない。2人の心臓の音が聞こえても不思議ではないくらいだ。

 静寂の中、お互いの温かさを感じる2人。

 「渡瀬君、あったかい」

 彼女は彼のぬくもりに身を預けていた。

 「八重さんだっていい香り」

 彼は彼女の石鹸の香りに安らぎを与えられた。

 「ね。キス・・・してもいい?」

 「うん。さっきは一瞬だったし・・・ファーストキス」

 後半のほうは消えそうな声であったが、彼の耳には届いたようだ。

 「えっ。ファーストキスって・・・」

 一瞬驚いた公一だがすぐに理解する。

 「そっか。男子と話さえしないもんな。キスだって・・・そうだよね」

 「今、普通じゃないとか思ったでしょ」

 「そんなこと思うわけないじゃない。八重さんのファーストが俺で嬉しいよ」

 公一は花桜梨から離れると、その目を見つめた。

 「私、何もかも初めてだから・・・でも最後までお願い」

 「うんわかった。俺を信じて。俺も八重さんを信じるから」

 「じゃぁ・・・花桜梨って呼んでくれる?」

 「俺のことも公一って呼んで」

 そう言い合ったものの、どちらも返事はしなかった。代わりに口づけを交わす。

 それは文字通り「口づけ」だった。唇同士が重なり合うだけ。舌の絡みさえない。

 それに我慢できなかったのか。少しして、花桜梨が舌を差し入れる。

 彼女がそこまでを望んでいるとは思っていなかった公一は、内心驚いたが、表には出さなかった。

 「んっ・・・」

 公一が優しく反撃すると、花桜梨はされるがままにする。

 キスの味は先程飲んだコーヒーの味だった。

 

 顔を離し目を開ける2人。

 花桜梨は初めての事なのに落ち着いていた。公一が気遣ってくれるからだと思うと、それだけで彼の自分に対する想いが伝わってくる。

 そんなことを考えている間に、公一が花桜梨のコーヒーカップを手にしていた。

 「コーヒー冷めちゃうね。せっかく入れたんだからあったかいうちに飲まないと。飲ませてあげる」

 と言いながら、自分で飲んでしまう。

 「公一・・・君?」

 言動が一致しない彼に疑念を抱く暇もあらばこそ。彼女の口は彼の口によって塞がれてしまった。

 彼から口移しされるコーヒーを、一口々々ゆっくりと味わいながら飲み込んでいく。

 (あれ・・・苦さを感じない・・・?)

 花桜梨はブラックコーヒーの苦味が好きなのだが、公一の口から飲むコーヒーは甘いように感じる。恋というミルクが甘くさせるのだ。

 「どう? おいしい?」

 「いきなりだからびっくりしたじゃない・・・なんだか甘い」

 全てを飲み干した花桜梨はそう言いながら、公一のカップを手に取るのだった。

 

 

 

 公一もまた甘いコーヒーを飲み干し、2人はベッドの淵に腰掛けた。

 「花桜梨・・・いよいよだね」

 「うん・・・でも大丈夫かな?」

 深呼吸して心を落ち着ける彼女。

 「実は俺も初めてなんだ」

 「え? だってさっき・・・」

 「キスだけなら2、3回したよ。中学のときだから、相手は光じゃないけどね」

 光とは幼馴染の女の子だ。高校で再会した彼女とは一緒の中学時代を過ごしていない。

 花桜梨は少々心配顔になった。

 「大丈夫。俺に任せて」

 公一の笑顔を見るだけで、花桜梨は安心できるのだった。

 

 制服の上着を脱いだ公一は、落ち着いて彼女の服を脱がせていく。トレーナーの下には白いTシャツを着ていたが、一度に脱がせたりしない。

 やっとTシャツを脱ぎ終わると、薄紫のブラジャーが現れた。BカップかCカップと思われる胸が美しい。

 「下はどうする?」

 「ん・・・その前に公一君も!」

 そういうと、彼女は公一のワイシャツを脱がし、Tシャツも取ってしまった。バレーではそんなに鍛えられなかったらしく、筋肉はさほどではない。

 「ここから先は俺に任せて」

 「うん。お願い」

 立ち上がった2人。公一は彼女のジーンズを脱がし、下着だけの姿にする。透き通るような肌に純白のショーツが目に眩しい。

 自分もブルーのトランクスだけになった。

 2人はベッドの淵に腰かけ、公一がブラの上から胸に触る。両手で優しく、優しく揉みしだく。

 「あっ!」

 乳房を揉まれることすら初体験の彼女にとって、これは快感であるようだ。

 「ブラ、外すよ」

 耳元で囁きながら、髪と同色のブラのホックに手を伸ばしていく。ブラから開放された胸はそのままの形を保っていた。

 2人は自然と体を倒していく。仰向けになった花桜梨に公一が覆い被さることになる。

 公一は揉み続けながら左の乳首に口づけた。吸っていると心臓の鼓動を感じる。

 「あん、やだ・・・」

 顔を真っ赤にして抗議するが、行動は起こさない。「公一に任せる」と言ったこともあるが、彼を信じているのが大きな理由だろう。

 経験はないが知識はある。その知識に従って右の乳首を指先で転がしてみる公一。

 だが彼女にとっては快感よりも羞恥のほうが強いようだ。公一の顔を見られなくて目を閉じている。

 「あ、イヤなら言ってよ。花桜梨の嫌がることはしたくないんだ」

 「ううん、もっと触っていいよ。公一君に任せるって言ったじゃない」

 花桜梨としても優しいだけの公一でいるべきではないと思っているのだろうか?

 彼女に従い、胸を攻め続ける。押せば跳ね返ってくる胸に公一は夢中で吸い、舐め続けた。

 あくまでも優しく、だが。

 

 そうしながら公一は機会をうかがっていた。が、しばらくの間胸を攻めていた手が不意に股間へ到達する。

 ビクン、と花桜梨の体が震える。

 「足、開いて」

 花桜梨の羞恥心は最高潮へ達しようとしていた。だがそのことに気付かない公一。

 おずおずと足を開いていく花桜梨。だが下着をを脱がされることには反対らしく、両手でショーツを抑えている。

 公一は足を閉じられないようにと、自分の両足を太腿の間に入れる。

 痕が残りそうなほどのキスを胸に続けながら、彼の手が女の子の最も大事な部分に触れた。その途端!

 「んっ!」

 「あぐっ!」

 「え? あ、ごめんないさい!!」

 「くぅー」

 公一が突然割れ目に触れたため、驚きでショーツを抑えていた手が動き、トランクスの上から彼自身を強く握ってしまったのだ!

 花桜梨も驚いて目を開けると、彼の痛がっているような顔が目の前にあった。

 「痛かった・・・よね」

 彼女は自分の失敗を詫びるべく、ペニスを撫でさすろうとした。だが彼の手がそれを制する。

 「触らないで。触られると余計ひどくなっちゃうから」

 そう言いながら、公一は優しく笑いかけた。

 「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」

 「あーもう。泣かないでよ。そんなに痛くないし、すぐおさまるから」

 公一は花桜梨を強めに抱きしめ、彼女の目や頬から涙を舐め取る。

 「うん」

 彼が今までで最も強く抱きしめてくれたことで、彼女の涙が止まったようだ。それと同時にあることに気付く。

 「大きいのが・・・当たって・・・これが入るの?」

 「うん。だけどまだまだだね。あそこが濡れてないから、しっかりと濡らしておかなくちゃ」

 「濡ら・・・」

 この言葉で花桜梨の羞恥心が最高潮に達してしまった。両手で顔を覆いそむけてしまう。両足を閉じようとして、彼の両足を太腿が強く挟み込む。

 先程まではHに夢中になり気付いていなかった公一も、これを見ればさすがに気付こうというものだ。

 「恥ずかしいのはわかるけど、恥ずかしがってちゃなにも出来ないよ」

 「うん・・・そうだね」

 「初めては痛いって言うけど大丈夫。しっかり濡らしておけば痛みも少ないって言うし」

 公一が随分と落ち着いているな、と花桜梨は思った。詳しいことは知らないが、アレが大きくなっていると言う事は早く入れたいのではないか? と考えていたからだ。

 彼が言うように自分はまだ準備が整っていない。それをわかってもらえたことで安心し、公一に身を任せる心の余裕が出来た。

 だから、今一度彼の手がに移動し、割れ目に沿って上下に撫でさすられても慌てることなく、声を我慢していられるのだ。

 一方の公一もまた、彼女が自分の恥ずかしい声を聞かれまいと堪えていることに気付いていた。

 そんな彼女が可愛くて愛しくて。彼は強い刺激を避け、静かに人差し指を動かしている。

 そして三度目のキス。キスをすると彼女が安心することをうまく利用する。

 「少しづつ濡れてきたね」

 口を離して伝えてやる。

 「このまま続けたら下着がびしょびしょになっちゃうから・・・脱がすよ?」

 「うん・・・それじゃ・・・」

 彼の手がショーツにかけられると、脱がせやすいように腰を浮かした。

 ゆっくりと脱がしていくと ぴちゃっ という音がわずかに聞こえる。

 細い足から抜き取ったショーツをブラと一緒に床へ置く。その間彼女の秘部から目を離さない。

 公一はしゃがみこんで両足開かせると、花桜梨の股間を覗き込んだ。黒い茂みの奥を探ると、少し濡れている割れ目がある。

 彼の指がゆっくりと割れ目をなぞる。なぞるほどに蜜の量が増す。

 それは女の子特有の甘い香りを放っていた。公一は香りに陶酔しそうになるのを堪えつつ、秘花を舐める。

 ペロ・・・

 「んっ!」

 恥ずかしい声を聞かれまいと必至で堪える姿がいとおしい。公一は夢中で舐め、または吸い立てる。

 花桜梨の方はというと、初めての感覚に戸惑いながらも必死で声を我慢していた。

 

 そうしているうちに割れ目の奥から蜜が溢れるようになってきた。

 ただ舐めているだけではこぼれてしまいそうで、公一は一心不乱に吸い続ける。足を抑えていた手もいつのまにか離してしまっていた。

 その刺激に耐えられなくなり、花桜梨が大腿を閉じる。すると公一は顔をはさまれる格好になる。

 「く、苦しいよ・・・八重さん」

 少々辛くなった公一は股間から顔を上げる。

 「ん・・・だって恥かしい・・・」

 「そんなこと言っても。しっかり濡らしておかないと痛いって言うじゃない?」

 「やっぱり痛いんだ」

 「だから痛くないように濡らすんだよ、ね」

 笑顔で言う彼の言葉に気を落ち着けるかと思われた花桜梨だが、唾液と愛液にまみれた顔で言われても効果は半減だ。

 とにもかくにも舐めるのを止めてもらいたい彼女は、公一の顔を見て思いついた。

 「もう十分濡れてる。だから・・・」

 「あ、はは・・・そういやそうだ」

 早くして欲しいという思いは彼に伝わったようだ。苦笑いしながら状態を起こし、つながるための準備をする。

 もう一度足を開かせて体を割り込ませると、花桜梨の胸は上下に動き、呼吸が激しくなっていく。

 「花桜梨、力を抜いて。でないともの凄く痛いらしいから」

 自分だけは落ち着いていなくては。彼はそれを一番に考えていた。そして彼女の痛みを少しでも和らげようとした。

 花桜梨も公一の言う通りに力を抜こうとは思うのだが、うまくいかない。

 「やっぱり怖い」と思う心はどうやっても変わらない。未知の体験の中でも最大のことをしようとしているのだから。

 

 目をぎゅっと閉じ、痛みを堪えるため力を抜くことが出来ないでいる花桜梨に気付いた公一は、彼女に顔を近づける。

 キス。

 口づけるだけのキス。

 花桜梨の体から自然と力が抜けた。

 

 

 

 彼女の足を開きあそこの位置を確認、ペニスをあてがいゆっくりと上下させた。ペニスに愛液のコーティングがなされていく。

 「挿れるよ?」

 「うん」

 彼女の頷きを合図に公一は挿入を開始した。

 「んんっ、きついっ!」

 「はっ、あう・・・」

 さすがに処女のそこはきつい。公一はペニスに力を込め、花桜梨は痛みを堪えながら初体験を成功させようと頑張っている。

 (なにかに当たった?)

 ペニスから伝わる感触が処女膜の存在を教える。それを膜と悟った公一は、

 「膜、破るよ」

 「う、うん・・・」

 これは言うべきではなかった。言ったことにより彼女の不安が増し、かえって逆効果だ。体にも力が入ってしまう。

 花桜梨は瞳をギュッと閉じ痛みに備える。が、いつまでたっても破瓜の痛みがこないので恐る恐る目を開ける。

 そこには花桜梨を見つめる公一の瞳があった。彼は花桜梨の髪を撫でると体を優しく抱いた。

 すると彼女は力を抜く。そこをすかさず貫いた。

 「んっ!」

 痛み。そして達成感。

 そのあとは案外すんなりと奥まで進んでいけた。

 「全部、入ったよ」

 「うん。奥まで公一君を感じる」

 痛いから動かないでという花桜梨の望みがあって、公一は彼女を抱いたままじっとしていた。

 

 どれくらいじっとしていたのか。

 「そろそろ・・・動いてもいいよ・・・」

 「大丈夫?」

 「うん。まだちょっと痛いけど痛いのは当たり前だって言うし」

 その表情からも動いて支障ないことがわかると、公一はゆっくりと腰を動かし始めた。

 ズズッとペニスを引き抜いていくと血と愛液に濡れているのがわかる。

 が、それを見たのは最初の一度だけ。あとは花桜梨を見つめたままだ。

 一方の花桜梨は「最初は痛いだけ」と聞いていたから気持ちいいことなどないものと思っていたのだが、動き始めてから徐々に感じ始めてきた。

 「あ、うんっ・・・」

 感じるままに声を出すことでさらに感じようとする。公一の動きにはうまく合わないが、腰を動かしてみる。

 そして・・・

 「どんな感じ?」

 不意に公一に聞かれ、感じることに必死になっていた花桜梨は「え、あ、うん」としか返せなかった。

 「気持ちいいんだ?」

 意地悪く笑う彼の目を見ることができない。

 すかさず「一緒に気持ちよくなろうよ」と言われて「う、うん・・・」とだけ言い、「はぅっ!」と再び感じ始める。

 それから、どうやら公一のほうが理性が残っているようで。

 「しまった!」

 と叫んで動きを止めた。

 「どうしたの?」

 花桜梨は不安になった。

 「コンドームつけてなかった・・・用意もしてないし・・・ゴメン!」

 挿れたままで謝っても誠意に欠けるのだが、とにかく謝りたかった。

 「いいよ」

 「え?」

 「今日は安全日だから安心して。安全日だからこそ安心してあなたと初体験してるんだし」

 花桜梨が優しく微笑みかける。

 「花桜梨・・・」

 今までリードしてきた公一だが初めて逆の立場に立ったような気がした。

 「2回目があるときは必ずつけるから」

 そう言うと再び動き出す。

 ゆっくり、ゆっくり。もどかしいほどの速度だがお互いに心地よい。

 ぴちゃっ、ぬちゃっ。

 動くたびに結合部から卑猥な音が響く。その音もまた快感を増幅させる。

 「うぅっ、イキそうだ!」

 「も、もうちょっと待って。そしたら一緒にイケるから!」

 「そんなこと言われてもっ!」

 ドピュッ!ドク、ドク・・・

 公一は堪えきれず膣内に放出する。精の迸りを感じた花桜梨もそれを引き金にイッてしまった。

 

 

 

 「はぁはぁ・・・一緒に、イケたね」

 うっすらと汗を浮かべ、Tシャツだけ羽織った花桜梨が嬉しさを伝える。

 処女の花桜梨がなぜイケたかというと、2人の知らぬ間にGスポットに当たっていたからなのだが。

 それがわかるのはまだ先のこと。

 「まさかこんなことになるとはなぁ・・・」

 「え、後悔・・・してる?」

 「違うよ。予想外の展開だったから、ちょとね」

 苦笑いを浮かべた彼はすぐに表情を直し何度目になるかわからないキスをする。それも頬に。

 「え?」

 唇でなかったことに戸惑いを覚える彼女に「後悔してない印さ」と彼。

 それに答えるように花桜梨も頬へのキスを返す。

 

 「これからも信じていくからね、公一君!」

 

 ―終―

 


解説

 初投稿、そしてH小説初執筆の汐崎海(しおざきかい)です。

 ときメモが好きなのでそれを題材に書いてみようと思ったわけですが、なかなか筆は進まないですね。

 テーマは「純愛度5つ星を目指す」です。八重さんには純愛がぴったりですし。

 さて、出来のほどはというと・・・悪くはないと思うのですが、えっち度に欠けたものになってしまったような?

 

 

 次回作も案ができております。違う作品の二次創作に挑戦する予定です。

 期待せずにお待ちください(苦笑)

 


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