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・・・
・・・・・
・・・・・・・
「ねえ、・・・ちゃんのしょうらいのゆめって、なあに?」
「うん、ぼくのゆめはね〜・・・んーと、パンやさんと、およめさんかなぁ」
「プッ・・・あはははは!おとこのこはおよめさんにはなれないんだよ。ばっかみた〜い♪」
「ううぅ・・・じゃあ、ゆみちゃんのしょうらいのゆめは?」
「え・・・えぇっとぉ〜・・・」
「ねえ、なんなの?」
「な・・・ないしょ!!」
「えぇ〜!ぼくにだけいわせるなんてずるいよ〜」
「うるさいわねー、・・・のくせになまいきよっ」
ぽかり
「うぁぁぁぁぁん!!ゆみちゃんがぶったぁ〜!!」
「ちょっとぉ・・・なかないでよぉ」
「うぅぅ・・・ひぐっ・・・ぐしゅっ・・・」
「ほら、ハンカチ。おはなふいて」
「うん・・・ありがと・・・ぐしゅっ」
「まったくぅ〜、そんなんじゃおんなのこにもてないよっ」
「ん・・・」
「ほらっ、まだはなみずついてる、かしてごらん」
「え・・・うん」
「・・・・・よしっと」
「ありがとう、ゆみちゃん」
「はぁ〜〜、ボクがいないとなんにもできないんだから・・・」
「う・・・ごめん・・・」
「ったくぅ、すぐにあやまるんだから!」
「え・・・ごめん」
「ほら、また!」
「ごめ・・・っぐ」
「はぁ〜〜」
「ねえ、せんせい」
「ん?どうしたの、勇美ちゃん」
「・・・ちゃん、きょうもおやすみなの?」
「うん、そうらしいわ」
「かぜ?」
「さあ・・・先生にもわからないのよ」
「ふうん・・・おみまいにいこうかな・・・」
「あら♪きっと・・・君も喜ぶわね♪」
「うん♪」
「勇美ちゃん、・・・君のこと、好きでしょう」
「!!・・・えぇっ・・・とぉ・・・」
「先生知ってるわよ、勇美ちゃんの将来の夢」
ぎくっ!
「勇美ちゃんは、大きくなったら・・・君のお嫁さ」
「わーわーわーわーわ!!」
「フフフッ・・・いつもいじめてるのも、・・・君に構って欲しいからでしょう」
「ううぅ・・・」
「大丈夫、・・・君も勇美ちゃんのこと、大好きだって先生は思うわよ」
「ほんと?」
「ええ、先生、勇美ちゃんに嘘ついたこと、あった?」
「ううん、ない」
「ね♪だから、勇美ちゃんも素直になって、・・・君をいじめたりしちゃだめよ」
「・・・うん!きょうから・・・ちゃんのこといじめない」
「ん、よろしい♪」
たったったっ
「へへへっ、・・・ちゃんよろこんでくれるかな?」
キィィー
「んしょっ」
ピンポーン
・・・・・・
「あれ?」
ピンポーンピンポーンピンポーン
「おかしいなぁ・・・」
がちゃ
「すみませーん、・・・ちゃんいますかー?」
・・・・・・
「だれもいないのかなあ・・・」
ドスッ!
「っ!?ぅぅ・・・」
(この子も関係者・・・)
(だろうな、リストの写真にも・・・)
(じゃあ、てっとりばやく記憶を・・・)
(そうだな・・・)
「んん・・・あれ?」
きょろきょろ
「こうえん・・・ボクなにしてたんだっけ?」
カァーカァー
「たしかおみまいに・・・あれ?ボク、だれのおみまいにいこうとしてたんだろ?」
ザァァァ・・・ガサガサガサ・・・
「うぅ〜さむいぃぃ・・・はやくおうちにかえろっと」
ガサガサガサ・・・・・・
1999年 9月下旬
・・・
・・・・・
・・・・・・・んん
「夢・・・か・・・」
最近頻繁にこの夢を見る。もう何度目だろう?
「ふぁぁ・・・・・」
寝起きのまったりした時間、今日は休日・・・きゅうじつ・・・・・
!!
ぼーっとした目は大きく見開かれ、寝ぼけた脳みそが一気に活動を始める。
僕は枕元に置かれた目覚し時計に手を伸ばした。
「うそぉぉぉ!もう8時じゃない!!」
昨日確かにタイマーをかけておいたはずなのに・・・なんて言っててもしょうがない。
「急いで着替えなくちゃ!」
ボタンを一気に外して、お気に入りの青いストライプのパジャマを乱雑に脱ぎ捨てる。そしてこの前買った服に着替え
「・・・替えとこ・・・」
るまえに、下着を替えよう。
プチ ぱさっ
ボクのこの美(微)乳を包む幸せ者な白いブラを外し、1番下のタンスに仕舞っておいたショーツとブラの群れを眺める。
ん〜・・・どれにしよう。一面の下着の中から、今日の下着をなんとなしに選ぶ。
「これと・・・これっと」
丸く畳まれたピンクのショーツと、揃いの色のブラを取り出し、さっそく身につける。花の乙女がいつまでも、ぱんついっちょじゃいられないもんね。
「う〜ん、ちょっとは胸も大きくなったかな?」
先月買ったブラが、心持ちきつくなった気がする。へへへへ・・・
「やっぱりいつも揉んでもらってるから・・・って!浸ってる場合じゃないじゃん!!」
今履いている白のショーツを脱ぎ捨てて
「でも下が心もとないんだよね・・・ちょこっとしか生えてないし・・・」
ってぇ!いかんいかん!こんな時に憂いでいるんじゃない!!
気を取り直して、手に持っているショーツに履き替える。
ハンガーに掛かったブラウスとミニスカート、タンスの中の白いソックスを瞬く間に身につけると、ボクは髪の毛をクシでとかしながら自分の部屋を急いで飛び出した。
・・・っと、財布財布。
片付けは、帰ってきてからにしよう。
「ふぅ〜、ギリギリなんとかなるかな?」
カタンカタンとなかなか味わい深い音をたてながら走る路面電車の席に座り、整理券を片手に一息つく。学兵時代に培った健脚で急いだおかげか、待ち合わせの時間まではまだ少し余裕がある。
そう、今日はデート。愛しいあの人と絆を深めるための、ささやかな週末イベント。
「フフフフッ♪」
ご飯食べて〜、映画見て〜、そんでそんで今日は第4土曜日だし、あの人の部屋に・・・キャーッ♪
〜交差点前・・・交差点前です〜
おっといけない、身悶えしてる場合じゃないね。発車する前にさっさと降りなきゃ。
ジャララ
「・・・ありがとうございました・・・」
小銭と乗車券を箱に入れると、運転手さんがボクにくぐもったような声をかける。うう〜ん、いつも思うんだけどどうして市電の運転手さんはみんな声が低いんだろ?(実話)・・・まあいいか。
電車を降りて交差点を抜けると、新市街の入り口がある。さすがに休日だけあって、人通りの多いこと多いこと。
「さて・・・」
今日は新市街で待ち合わせ。入り口のあたりで9時に、って約束だったんだけど・・・
「ゆ・み・さん!」
っとお!びっくりしたぁ!
「も〜、脅かさないでよ厚志君!」
そう!なにを隠そうお相手はこの人、速水厚志君。人類と幻獣との戦いを終わらせた、僅か1月で340体(熊本城攻防戦、降下作戦未発生)という史上最短記録の絢爛舞踏。
いやぁ・・・肥後っ子として鼻が高い。
・・・ん?子供っぽいボクと彼とじゃ内面はともかく見た目のバランスが取れないんじゃないかって?しっつれ〜ね!これでも一応、ボクのほうが厚志君よりいっこ年上なんだからね。
「さっ、映画見に行こう」
ニコッ♪ シャラララ〜〜ン☆★♪
出たっ!厚志君必殺の速水スマイル!歩く人皆振り返る、魅力Sならではのナチュラルウエポン!女の子だけじゃなく、男どもまで振り返るのが引っかかることこの上ないけどね。
「うん、行こっ♪」
そう言ってボクは厚志君と腕を組む。に厚志君の優しい笑顔が、周囲の凄まじい嫉妬と羨望が、ボクに降り注ぐ。
へへん!悔しかったら机の中にラブレター入れて、プレハブ校舎の屋上で待ってみろってんだい♪
新市街を歩くこと少々、そろそろ映画館に行き着く。
「ねえ厚志君、今上映中の作品って、なんだろ?」
「え〜っと・・・なんだっけ?」
も〜、厚志君、デートに誘うんならちゃんと下調べくらいやっといてよね。
とか何とかしているうちに、映画館へ到着。
上映内容は・・・っ!!
「厚志君・・・」
「うん・・・」
看板に貼られたポスター。
それに踊る文字は
「ポシェットモンスター μ3の大逆襲・・・」
はっきり言って、高校生が見るような内容じゃない。
ボクが実年齢よりちょおっとばかし若く(幼く)見られるからって、内容までそうだと思っちゃあ・・・
50分後
{行け!ビガヂュー!!ななまんはっせんボルトだ!!}
{びがーーーーヂューー!!!}
バリバリバリ!!
「よぉ〜し!やれ〜!ビガヂュー!!」
そのままやっちゃえ〜!!
{フン!このμ3様にそんな攻撃が通用すると思っているのか!!}
バシュ!
「ああっ!破られた!」
ずるい、バリヤーだなんて!せめてスモークか展開式増加装甲くらいにしなさいよね!電撃は防げないけど。
・・・さらに30分後
「やぁ〜、久しぶりにエキサイトしたね、厚志君」
ほんとに面白かったぁ。
「うん、そうだね・・・(勇美さんが1番盛り上がっていたような)」
「久しぶりに童心にかえった気がするよ」
最後のほうなんかガンパレードマーチ歌いそうになっちゃった。
「うん、僕も面白かったよ(気になるのはビガヂューの声が石津さんに似ていたっていう所だなぁ)」
「童心にかえったついでに、久しぶりにちょっと行きたい所があるんだけど」
「うんいいよ、行こう(トケビーの声がののみちゃんに似ていたのも気になる)」
さっすが厚志君、付き合いがいいね。
「ここから市電に乗って・・・で降りて、ちょっと行った所にあるんだ」
新市街を出て電車を待つ間、ボクと厚志君はとりとめのない会話を交わしていた。
プシュー ガタン
要所要所頻繁に停車する、歩みは遅いけど居心地のいい電車内。
厚志君と一緒だと、いつもはもっと速く走れ!と思いがちな電車も、もっとのんびり走って欲しくなる。車内に掛かった広告も、今日は目障りに思えない。
「ねえ、勇美さん」
「なあに?厚志君」
携帯電話の広告になんとなく目をやっている時、厚志君がボクの方を向いて語り掛けてきた。
「具体的には、どこに行くの?」
さすがに気になるのか、厚志君は少し首をかしげて問い掛ける。
「ん、ボクが昔かよってた幼稚園だよ。でも、まだあるかなあ?」
「幼稚園・・・か」
ボクがにこにこ顔で話すと、どういうわけか厚志君はとたんに寂しそうな表情になっていった。辛いのに笑顔を無理して作っているような、そんな感じ。
「・・・」
その顔を見て、今更ながらに思い出す。
付き合い始めた頃に語ってくれた、厚志君の小さい頃の話。研究施設で育ったときの、辛い思い出を。
「ねえ・・・そういえば厚志君って、どこの幼稚園にかよってたの?」
無神経だと思う。でも、気になる。
自分の好奇心が憎い。
「うん・・・覚えてないんだ・・・どこにかよってたのか。どんな子がいたのかも、ほとんど・・・覚えてない・・・」
カタンカタン カタンカタン
「・・・」
喉に何か詰まったような感じがして、何も言えなくなった。
ボクら2人と運転手さん以外誰も乗ってない電車の中は、重い空気が漂っていて、道路を走る車の音と電車の音が妙に耳障りだった。
「ごめん、なんか変な話しちゃって」
何を言ったらいいのかわからなくて俯いていたボクに、厚志君はにっこりと笑いかけてくれた。
じわっ、と胸に暖かいものが込み上げてくる。もし電車内でなくもっと別の、2人きりになれる所だったら、きっとボクは甘えた声をあげて厚志君に抱き着いていただろう。
ちっ、残念。
〜・・・、・・・です〜
あ、着いたみたい。
「さっ行こう、勇美さん」
厚志君がさっと立ち上がって、ボクに右手を差し出す。
これはつまり・・・んむう、あらためてこういう事されると、なんか顔が熱くなっちゃうね。
「うん・・・へへへ」
ボクは厚志君の右手を手にとって、紫色の電車のシートから立ち上がる。
厚志君は2人の乗車券を箱に入れると、ポケットから、学兵時代に受章した銀剣突撃章を出して運転手さんに見せた。
運転手さんはびっくりした様に顔を上げて、そのまま厚志君に敬礼をした。
さすが銀剣突撃章12個の男、威厳が違うね。
使えるものは使っとかないとね、というのが厚志君の心得らしい。妙に説得力があるのは、普段のマメで生活力のある厚志君を見ているからだろうか。
厚志君に手を引かれて電車から降りると、今度はボクが手を引いて、厚志君と目的地目指して歩き始めた。
電車を降りてすぐ、排気ガスの匂いと一緒に漂ってくる甘い香り。
ミスタードー○ッツかぁ・・・
ボクは帰りに厚志君にたかろうと心の中でほくそ笑んだ。
手をつないでゆっくりと通りを歩く2人。道行く人の視線も自然とボクらに向けられる。相変わらずの、羨望と妬みが混じった視線だ。
最初は居心地の悪かったこの視線も、今ではほとんど気にならない。馴れっていうのは恐ろしいね。
「あっ、そこを左に曲がるんだよ」
スーパーの側にある路地を覗くと、そこには幼稚園がある。ボクがかよっていた幼稚園だ。
「・・・?」
ふと厚志君が歩みを止めた。
ボクが手を引いても、固まったままそこから動こうとしない。
一体、どうしちゃったんだろ?
「ねえ厚志君、どうしたの?気分でも悪いの?」
少し大きな声で呼び、手をぐいぐいと引っ張る。
「あっ・・・ごめん、少しぼ〜っとしちゃってたみたい」
ピクッと体をはねさせると、少しばつが悪そうにそう言って、厚志君は苦笑いをした。
ぼーっとしていたというのは、おそらく嘘だろう。
そういう時の彼は、決まって何か考え事をしているのだ。それが何かは、・・・わかるはずないけどね。
「ふぅ・・・ん」
へたに突っ込むのは良くないと思い、ボクはそれ以上のことは聞かなかった。
さすがに休日とあって、園内には誰もいなかった。
ボクと厚志君はそっと塀を越えると、ペンキの剥げた幼児サイズのブランコに座った。
「ねえ勇美さん、勇美さんの幼稚園児の頃って、どんなんだったの?」
「え?ボクの幼稚園時代?」
「うん」
この勇美様のロリロリだった頃(今もでしょ?)の話が聞きたいの?う〜ん、どんなんだったかな〜。
「そ〜だね〜・・・まあ、よく男の子をいじめてたかな?」
「へぇ・・・なんか、簡単に想像できちゃうよ」
言ってくれるじゃん。まあ、我ながらそうだろうとは思うけどね。
「僕はね・・・いじめられるほうだった・・・かな」
ちょっと切なそうに話す厚志君の横顔を見て、ふと、学兵時代のことを思い出す。
まだ2人が会ったばかりの頃、プレハブ屋上でサンドイッチを貰った時に話してくれた、顔も名前も覚えていない女の子の話を。
「本当に、無事でいてくれたらいいんだけど・・・」
キィ・・・キィ・・・
厚志君は何もない空間を見つめながら、ぽつりと小さくつぶやいた。
馬鹿げた事だって自分でも思うけど、ボクは少しだけ、その女の子のことが妬ましくなった。
「じゃあ、ボクらは正反対だね」
胸に潜むもやもやした気持ちを隠し、意識して明るい声をかける。
「ん・・・そうだね」
それを感じ取ったのか、厚志君も、いつもの優しい笑顔を僕に向けてくれた。
「勇美さんがいじめてた男の子って、どんな子だったの?」
共感というものからだろう、厚志君は少し興味深そうな顔で、キィキィとブランコを揺らしながら聞いてきた。
「ん〜・・・なんか恥ずかしいんだけどね・・・ボクがいじめてた子は・・・」
・・・
・・・・・
・・・・・・・あれ?
「ちょっと・・・待って・・・」
今のボクは傍からみて、たぶん、すごく焦ってるんだと思う。
「・・・あれ?・・・おかしいなあ・・・」
厚志君が、心配そうにボクを見つめている。
「思い・・・出せないや」
そう・・・思い出せない・・・その男の子のことを・・・顔も、名前も、声も。
「おかしい・・・ね・・・何でだろ?」
声が震える。
何だろう?この、すごく・・・哀しい気持ちは。
ぽろ・・・ぽろ・・・
目の前が、段々ぼやけてきた。
おかしいね・・・ボク・・・どうして・・・・・泣いてるの?
「・・・ごめん」
ぎゅっ
「あっ!」
厚志君がボクを立ち上がらせて、その胸に引き寄せて抱きしめてくれた。
「厚志・・・君」
そうか、厚志君もこんな気持ちだったんだね・・・
なにか自分にとって、すごく大切だったような気がする。けど、どうしても思い出せない。
もどかしくて、むず痒くて、腹ただしくて、哀しい・・・
「うぅ・・・うっ・・・ぐっ・・・ううぅぅ・・・」
ボクは厚志君の胸に顔を押し付けて、声を殺して、顔も名前も思い出せない幼なじみのことを想い、ただただ・・・泣いた。
「落ち着いた?」
「うん・・・みっともないとこ見られちゃったね」
照れ笑いをするボク。厚志君がずっと抱いてくれてたおかげだろう、ぐしゃぐしゃだった気持ちも今ではすっかり落ち着いた。
「いいんだよ、みっともない所どんどん見せてくれても」
柔和な笑み、ってやつだろうか。厚志君は胸の奥からほ〜っとするような、ぽややんとした笑い顔を向けてくれた。
「ん・・・えへへへへ・・・」
そんな厚志君の気持ちがうれしくて、不覚にもまた泣いちゃいそうになっちゃったよ。ま、ぎりぎり大丈夫だったけどね。
「そろそろ、行こうか?」
厚志君は腕時計を見ながら、もうすぐお昼だよと言った。
そういえば、朝何も食べていないのとさっき泣いたのとで、おなかの虫がきゅるきゅると激しく催促をしている。
我ながらゲンキンだなあとは思うけど、ちょっと辛抱たまらなくなってきた。
「うん。じゃあさ、さっきミスタードー○ッツがあったから行こっ!うん、決定!」
厚志君が口を開くより先に、ボクは彼の手を取って駆け出した。
よしよし、だんだん調子が戻ってきたぞ。
「早く早く!僕、もうおなかぺこぺこなんだからね!」
「わわわ!そんなに引っ張らないでってば〜」
さっきとはうって変わってせわしなく駆けていくボクたち2人に
「最近の娘は大胆ですわね」
という、奥様戦隊のお小言が聞こえてきそう。
「と〜ちゃくっ!」
走ることしばし、ボクたちは甘い香りを漂わせる建物の前に、なかなかの好タイムでたどり着いた。
「さっ厚志君、早く入ろ〜!入ろ〜ってば〜!」
ぐいぐいと厚志君の袖を引っ張る。
・・・はっ!いけない、これじゃあ恋人って言うより兄妹じゃん!
むむむ・・・ここはひとつアダルティにキメてみますか。
「ねえ・・・厚志・・・早くぅ」
ふふふ・・・これで厚志君のハートをゲットだぜ!
ビガヂュー!
「・・・クスッ、勇美さん似合わないよ、それ」
アハハハと厚志君が笑い出した。まあ、我ながら似合わないとは思うけどね・・・クスン。
「それよりさ、勇美さん・・・」
「ん?なに?どったの?」
厚志君が笑いながらボクの方を向いた。
「初めて、君つけないで呼んでくれたね・・・嬉しかったよ」
照れ照れ照れ照れ
「う・・・うん」
うわぁ・・・なんか顔が熱いや。厚志君も顔が赤くなってる・・・はははは。
「い・・・行こうか・・・」
とにかく食べよ。おもいっきり食べてやるんだから。
厚志君のおごりで。
「これも食べていいよ」
「はりはほふ」
んぐんぐ
「いつもながらよく食べるね、勇美さん」
厚志君はテーブルに肘をついて、紅茶をすすりながらボクの食べっぷりをじっと見ている。
「んぐっ・・・ぷふぅ〜。だって好きなんだもん、ドーナッツ」
ちょっと胴回りが心配だけどねえ・・・たはは。
「これからどうしたい?」
「ん・・・どうしようか」
映画は見たし、童心には帰ったし、昼ご飯食べたら・・・ん〜。
「ねえ、僕の部屋に行く?」
んぶふっ!
「だ、大丈夫?」
「けほっけほっ・・・ごめん、不意をつかれたもんだから」
冷たいグラスの水で、オールドファッションを流し込む。
まさかお日様の高い時間にお誘いとは・・・
「やっぱり時間的にまずいかな?」
厚志君が頭をかきながら照れている。
「う・・・ん、女の子としては〜、もっと・・・こう〜、ねえ!」
手をおもいっきり振りながら厚志君に力説するボク。
「なんて言ったらいいのかなぁ・・・ほら・・・その・・・」
ぶんぶん ゴスッ!
「ったあぁぁぁぁい!!」
「大丈夫?勇美さん?」
思いっきり腕を振り回したおかげで、テーブルの角に左手をぶつけちゃった。
我ながらまぬけだなぁ・・・あははは・・・本当に痛いよぉぉぉ。
「ちゃんと冷やさないと」
厚志君がおしぼりに冷たい水を含ませて、ボクの手を冷やしてくれた。
ああ、おしぼりよりその心遣いが気持ちいいよ。
「ほんとに、勇美さんと一緒にいると退屈しないよ」
おかしそうに笑う厚志君。
あはははは、とボクも一緒に笑い出す。
傍から見たら、かなり異様なカップルなんだろうなあ・・・
「ねえ、厚志君」
「ん?」
ボクの左手におしぼりをあてながら、厚志君が応える。
「行こうか・・・厚志君の部屋」
今度は厚志君が不意をつかれたみたいで、ちょっと固まってる。
「う・・・うん」
左手の痛みが治まってから、ボクたちは勘定を済ませた。
あ、厚志君のおごりでね。
店から出ると、ボクたちは手をつないで、ちょうど来たばかりの電車に乗り込んだ。
一旦ボクは自分の部屋に帰って、着替えを持って厚志君の部屋におじゃました。
今までボクが厚志君の部屋に来た理由は、大まかに言うと2つくらいかな。
厚志君の美味しい料理をご馳走になることと、あと、ええ・・・・・泊まること。
恋人の関係になった日から、厚志君の部屋におじゃまするのは、それはもう両手両足で数え切れないくらい。
その・・・やっぱ、男と女が2人っきりになったら、やることといえば・・・ヤることでしょう。
ぼふっ
「厚志・・・くん」
少し大きめのベッドに、仰向けに倒れこむボク。ふかふかした感触が、結構気にいってるんだ。
なんでも厚志君は、「このこと」のためにベッドを買い換えたんだって。
少し笑っちゃうけど、それだけ、ふれあいを大切にしてくれてるって事だよね、うんうん。
「勇美さん・・・」
厚志君がボクの横に倒れこんできた。
少し体を寄せてボクを抱きしめると、そっと唇を寄せてきた。
チュッ
ボクは厚志君の求めるがままに、唇を重ねた。
そしてどちらからともなくお互いの唇を割り、舌を絡め始めた。
くちゅっ、ちゅっ、ぬるっ、ちゅるる
厚志君の口は、さっきまで飲んでいたやつだろうか、甘い紅茶の味がした。
ツゥゥ・・・
糸を引きながら口を離すと、お互いに口の周りは唾液でべとべとになっていた。
「はぁっ、はぁっ・・・はふぅ・・・」
キスに夢中になってたからか、頭がぼおっとする。
厚志君に求められた時はいつもこうなんだけど、ボクはこの宙に浮くような感覚が気に入っている。
ぷち、ぷち、ぷち
厚志君が堪らなくなったのか、ボクのブラウスのボタンをゆっくり外し始めた。
「あっ、自分で脱ぐよぉ・・・」
今更って感じだけど、人に脱がせられるのはなんか気恥ずかしい。
ボクはぼおっとしながらも立ち上がって、お気に入りのブラウスとスカートをばっばっと乱雑に脱ぎ捨てた。
下着は、着けたまんまね。
もう1度ベッドに寝そべると、厚志君の均整の取れた体が、ボクの目に飛び込んできた。
身に纏うものは何もない、ボクにだけ見せてくれる厚志君の生まれたままの姿。
「・・・」
その体に刻まれた、いくつもの傷痕。
幻獣との戦いで、ボクのような戦う力のない人間の代わりに受けた、一生消える事のないだろう深い傷。
ボクは、この傷だらけの体がたまらなく好き。この傷達の何倍もの数の命を救った厚志君が、ボクはたまらなく好きだ。
2人同じ方向を向くように、厚志君は膝にボクを座らせた。ボクの背中が厚志君の胸に当たって、かすかに心臓の鼓動を感じる。
「あふぅっ・・・」
厚志君が布越しにボクの胸をやわやわと揉みだした。
暖かくて大きな手でゆっくりと、円を描くように優しく揉んでくれる。
「痛くない?」
「うん・・・」
ボクが気遣いの言葉にそう答えると、厚志君は段々と揉む力を強めてきた。
痛みを感じないギリギリの所まで強く激しく揉み、かと思いきやもどかしいくらいの力で弱くゆっくりと揉む、その繰り返し。
しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ、くりっ
「あンッ」
ブラ越しに乳首を摘ままれて、ボクは思わず高い声を漏らした。
くりっ、くにっ、くにっ
「可愛い声を聞かせてよ・・・ふぅ〜」
「ひゃん」
耳元で甘い言葉を囁かれ、暖かい息を吹きかけられる。ああ・・・頭がくらくらするよぉ。
「勇美さんのおっぱい、柔らかい・・・」
耳元でそう囁くと、厚志君はブラをたくし上げて、今度はボクの胸を直接揉み始めた。
むにゅ、むにゅ、くりっ
「あぅっ・・・はっ・・・」
「もうすっかり硬くなってるね、勇美さんの乳首」
人差し指と親指の腹で、僕の乳首を直に摘んでいる。
ブラ越しのときからくりくりと弄られたボクの乳首は、自分で見なくても解るくらいに硬くしこっている。
くりっ、くにゅ、むにゅ、くにゅ
「あふぅ・・・はぁ・・・」
奔放に、だけど決して乱暴じゃない愛撫、ずっと身をゆだねていたい快感。
ん・・・お尻に硬いものが当たってる・・・厚志君も興奮してるんだ・・・
むにゅ、むに、くにっ くちっ
「んんっ!」
右の胸から手をずらした厚志君は、
ボクのショーツに1本走る筋に指を滑らせた。
「勇美さんのアソコ、凄く濡れてるよ」
くちっ、しゅ、しゅち、くちゅ
胸を揉む手を休めて、厚志君は面白そうにボクのあそこを指で擦っている。
後から後から湧き出してくる僕のエッチな液が、はいている意味が無いくらいショーツの布を透けさせる。
「厚志君・・・お願い・・・脱がせて」
ああっ!恥ずかしいよぉ!・・・
ボクのおねだりに意地悪く微笑んだ厚志君が、ショーツに指を掛け、まるで割れ物を扱うみたいに慎重に脱がせていく。
・・・ふふっ、なんだかんだいって、やっぱりこういうのには慣れてないんだね。
まあ、ボクもだけど。
ぱさっ
ショーツをベッドから落とすと、厚志君はボクのあまり成長の著しくない茂みを、押し付けるように撫で始めた。
しゃり、しゃり、しょり
イコールで快感に繋がるわけじゃないけど、恥ずかしい部分を直に触れられていると思うと、それだけでボクのあそこからエッチな液が溢れ出してくる。
しょり、しょり、しゃり、しょり
「ねえ・・・あそこも・・・触って」
つぷぅぅ
言うが早いか厚志君は、ボクの膣(なか)に勢いよくと中指を挿入した。
「くふゥ・・・」
「勇美さんの膣、ぬるぬるして・・・温かい」
そう言って、膣の周りの壁をくにゅくにゅと弄り始めた。
くにゅ、くちゅ、ぬちゅ、くちゅ
「ねえ・・・もっと激しくしてぇ」
「うん、じゃあ、1本増やすよ」
つぷっ、ぐにゅっ
「くぁぁ!」
厚志君が中指を抜けるぎりぎりのところまで引くと、人差し指と一緒にそのまま一気に押し入れた。
ぐにゅ、くにゅ、ぐに、
指の腹でこねるように、厚志君がボクの膣の壁を愛撫する。
ぐにゅ、ぐちゅ、ぷちゅ、くちゅ
「あぁぁ・・・ボク・・・ボクもうだめぇ!」
!!
はぁ・・・イっちゃった・・・
厚志君が指を抜くと、ボクの膣からとろっとエッチな液が流れ出てきた。
「ん・・・シーツ、べとべとにしちゃったね」
「もっとべとべとにしちゃおうよ、勇美さん」
厚志君が力の抜けているボクの体を少し浮かせると、かちかちになったおちんちんをボクのあそこの前に持ってきた。
見下ろすと、まるでボクの股からおちんちんが生えているみたいだ。
厚志くんのおちんちんは大きくて、びくびくしていて、そしていつもボクを気持ちよくしてくれる。
「いいよ・・・厚志くんのをボクの膣に・・・」
厚志君はまたボクを持ち上げると、お互いが向かい合うように持ち替えて、狙いをつける(CA)。
ボクは厚志君が入れやすいように右手であそこを広げ、左手で厚志君のおちんちんが揺れないように固定する。
「いくよ、勇美さん」
「うん・・・きて」
つぷっ、ニュプゥゥゥ
「はあぁぁぁん」
厚志君の先っぽがボクの入り口に触れると、そのまま勢いよく、おちんちんを押し込んだ。
串刺し、という言葉がぴったりくるくらい、おちんちんがずっぽりと深く入っている。
「勇美さん、辛くない?」
「ううん・・・凄く気持ちいいよぉ」
はぁ・・・ボクの膣が厚志君でいっぱいになっている。
そのまましばらく動かずに、2人は夢中で舌を絡めあう。
ゆっくりと口を離すと、厚志君は息を整えながらボクに語りかけてきた。
「はぁ、はぁ・・・動くよ・・・」
「うん・・・」
頷くと、ボクは繋がったままベッドに体を倒して、白いシーツを握り締めた。
つちっ、つぷっ、くちっ、つぷっ
最初はゆっくりと、感触を楽しむように出し入れを繰り返す。
ぬちゅ、ずちゅ、ずぷっ、ずちっ
控えめだった腰は動きの調子が良くなり、摩擦音も激しく、卑猥な音に変わっていく。
「あぁぁ・・・きもちいいよぉ・・・あつしくぅん・・・ボクきもちいいよぉ・・・」
どんどん送り込まれる快感で、舌がうまく回らない。
「僕も・・・きもち・・・いいよ」
ずっ ずっ ぷちっ ずにっ ちゅぢっ ずにゅ ぷぢゅ
ますます早く、力強くなった腰の動きは、出し入れというよりも打ちこむ、といった方が正しいくらい。
ぐにゅ ぐにゅ ぐちゅ ずちゅ ぶちゅ ずちっ ぬちゅ ぶぢゅ
「あっ!あうっ!くぅっ!はふっ!」
厚志君の腰の動きが、出し入れから膣の壁をかき回すような動きに変わった。
うねるような快感に、ボクは知らず知らず大きな声を漏らしていた。
にゅぐっ ぐにゅ ぐちゅ ぬちゅ ぐちっ
ボクは指が白くなるくらい固くシーツを握り締めた。足の指にも力が入る。
膣から溢れたエッチな液はお尻の穴を経て、シーツの上に池を作ろう、というくらいに溜まっている。
ぐちゅ ずちゅ にゅぐ ぬちゅ にゅちゅ
「あつしくん!あつしくぅん!ボク・・・ボクまたイっちゃうよぉ!」
シーツから手を離して、厚志君の背中にしがみつく。
ぎゅっと抱きしめると、膣をかき回す動きが最後の瞬間の近付いている事を知らせるかのように激しくなった。
「うぅぅ・・・僕も・・・もう」
ずちゅ ずちゅ ずにゅ ぐにゅ ぬちゅ ずちゅ
「ああっ・・あぁぁぁぁ!!」
!!
キュッ キュゥゥ
収縮した膣が厚志君のおちんちんをきつく締め上げる。
「勇美さん!ううっ!」
ビュッ ビュルル ビュルルル ビュッ ビュ ビュ ピュ
「んんっ・・・熱いよぉ・・・」
凄い量の厚志君の精液が、ボクの膣に勢いよく流れ込んでくる。
「はぁぁぁ・・・」
深く息を吐くと、厚志君はボクの膣からぬるりとおちんちんを抜いた。
ごぷっ こぽっ
抜いた後も拡がったままの僕の入り口から、厚志君の精液がどろりと流れ出してきた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
行為の後のむせ返るような男女の匂いの中で、ボクは髪を撫でてくれる厚志君の手のひらを感じながら、ゆっくりと眠りに落ちていった
・・・
・・・・・
・・・・・・・
最初は、なんかぽけっとした奴だな、って思っていた。
こんな奴が本当に戦えるのかなとか、機体を任せて大丈夫かなとか、今思うと結構ひどいことを考えてた。
最初は、単にお人よしな友だちくらいに思ってたけど・・・
一緒に登校して、訓練して、仕事して、ご飯食べて、遊びに行って・・・
漠然とだけど、彼ともっと一緒にいたいって思うようになっていった。
はっきり自分の気持ちに気付いたのは、小隊のみんなで手作りの勲章を彼に贈った日、パーティーを開いたときだった。
女の子に囲まれてはにかんでいる彼を見たとき、ボクは今まで感じた事の無い、泣きたくなるような怖さを、そして怒りを感じた。
嫉妬・・・だと思う。
そのときボクは彼に、速水厚志に惹かれているということを、自覚した。
「来てくれるかなぁ・・・」
彼は多分、ボクのことなんか元気のいい女の子くらいにしか思っていないだろう。
もしかしたら、女の子とすら思われていないかも知れない。
カツン、カツン、カツン、カツン
き・・・来た・・・
「新井木さん、どうしたの?こんな所に呼び出して」
相変わらず、のんびりした口調。
普段の彼を見る限り、とてもじゃないけどアルガナ勲章やシルバーソードの受章者とは思えない。
「・・・」
顔が熱い、口が渇く。
「・・・ねえ、ボクと付き合ってよ」
ボクはあっけらかんと、いつもと変わらない口調で言った。
だめでもともと、拒絶されても受け流せるよう、できるだけ冗談っぽく。
「えっと・・・」
ボクは赤い顔を隠すため、俯いて答えを待つ。
時間の流れが、やけに遅く感じる。
やっぱり、告白なんてしなければ良かった・・・
ボクのことを見てくれなくても、彼のそばにいて笑っていられれば、それで幸せだった。
これが原因で2人の仲がぎこちなくなったら・・・ボクは・・・
怖くなったボクはウソウソ、本気にした?って言おうと口を開きかける。
その一瞬前。
「・・・そう言ってくれると嬉しいな。うん、はい、イエス」
・・・・・脳が言葉理解するのに、これほど長い時間を要したのは、初めてだった。
「・・・・・うっ・・・うぅぅ」
目の前が、だんだんぼやけてきた。
「うっ・・・うぁぁ・・・っぐっ・・・うぅ・・・」
「え?どうしたの、新井木さん」
わけもわからず泣いてるボクに慌てながら、彼は・・・
厚志君は優しく抱きしめてくれた。