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1.
ベルダンディーがヤツとキスを交わしたシーンが頭から離れない。
セレスティン。
あいつの勝ち誇ったような顔。
実際はそんな事は無かったのかもしれない、被害妄想なのかもしれない。
でも、俺にはそう見えた。
『私はお前の知らないベルダンディーを知っているんだ。』
と。
俺はベルダンディーの何を知っているのだろう。
不意に不安に駆られる蛍一。
目の前には安らかに眠っているベルダンディーの顔。
キスしようと思えば、出来る状況に蛍一はいる。
「ベルダンディー…」
蛍一は溜息混じりに愛しい人の名を呼んだ。
「はい?なんでしょう。」
ベルダンディーは既に目を覚まし、真っ直ぐな瞳でこっちを見ていた。
「目を覚ましたんだね、ベルダンディー。
心配したよ、全然目を覚まさないんだもの。」
今までの妄想はどこへやら、蛍一は安堵していた。
…愛しい人の変わらない表情に。
「ごめんなさい、どこかでお会いしましたっけ?」
ベルダンディーの口から発せられた言葉に蛍一の時間が止まった。
「なに…どういうこと?俺だよ、蛍一。
いやだなあ、冗談はやめてよベルダンディー。」
蛍一はなにがどうなっているのか解っていない。
「冗談ではありません。
蛍一さん…でしたっけ、何故私の名前を知っていらっしゃるんですか?」
見た事の無い場所で知らない人に突然自分の名前を呼ばれ、
ベルダンディーは不思議でしょうがない様子だ。
「なぜって…そんな…」
蛍一は言葉を紡ぐ事が出来ない。
「ちょっと待ってて。」
やっとの事でそれだけ言い残すと、蛍一は部屋から飛び出して行った。
2.
ウルドに診てもらい、大体の状況は分かった。
セレスティンとのキス。
あれはただのキスではなかった。記憶を閉じ込める法術だったのだ。
『蛍一との記憶だけを閉じ込める』
それだけを目的とした法術は覿面の効果を発揮し、
ウルドをもってしても、それを打ち破る術は無かったのである。
「ねえ、本当に何も憶えていないのかい?ベルダンディー…」
蛍一は何度も繰り返してきたこの質問をベルダンディーにぶつけた。
「そう言われましても…女神は嘘をつけませんから。」
その度にベルダンディーはこう答えたのだった。
長い沈黙。
「少し昔話をしようか。」
蛍一が淋しそうな笑顔を浮かべてベルダンディーに話しかける。
「はい。」
ベルダンディーはそんな顔をする蛍一に「いいえ」とは言えなかった。
「あれはびっくりしたよ、まだ大学の寮に住んでいた時だった。」
目を瞑り、ゆっくりと語り出す。
「…あの時は大変だったよ。震電の高度が落ちなくてさぁ…」
蛍一は饒舌になっていた。
自分でも分からなかった、でも語り聞かせずにはいられなかった。
『分からない…でも何故か懐かしい気がする。』
ベルダンディーは気持ち良く流れる音楽の様に、蛍一の話を聞いていた。
「ここで話していてもきりが無いね。少し表に出ようか。」
不意に蛍一が切り出す。
「……そうですね。」
ベルダンディーも少し気が参って来ていたところだったので、蛍一の案に賛成した。
「姉さんに言付けしてきますね。」
ベルダンディーはそう言い、部屋を出ていった。
「ああ。俺はバイクの準備をしているよ。」
蛍一は表へ出ていった。
「ウルド姉さん。森里さんと少し表に散歩に行きますね。」
ベルダンディーはそう言うと表に出ていった。
3.
見慣れたはずのビーエムダブリュー。
座りなれたサイドカー。
聞きなれたエンジン音。
解らないけれどベルダンディーは懐かしさを感じていた。
『既視感』とでも言うのだろうか、そんなものを感じていた。
「ほらっ。」
蛍一がベルダンディーにヘルメットを投げ渡す。
「えっ…」
投げ渡されたヘルメットを見つめる。
『何?この感触…』
シートに座る…
まるで自分にあつらえたようだった。
見慣れた景色のような気がした…
「じゃあ行こうか。」
蛍一はそう言い、発進させた。
思い出探しの旅へと。
そうは言っても二人で出かけた場所など無いに等しい。
いつもウルドやスクルド、自動車部の面々などと一緒だったからだ。
色々回ろうと思っていた蛍一だが思い出には必ず二人の他に誰かが居た。
二人だけでいたのは誰もいなかった、はじめてキスをした海浜公園だった。
4.
海浜公園はあの時と同じままだった。
「………。」
蛍一とベルダンディーは海辺の柵から沈みゆく太陽を眺めていた。
『この場所は何なのでしょう…夕日が見たかったのでしょうか…』
ベルダンディーはここが思い出の場所とは思ってはいなかった。
「…ここはね、はじめてキスをした所なんだよ。」
今まで黙っていた蛍一が口を開いた。
「えっ?そうなのですか…ごめんなさい…私、思い出す事が出来ません。」
ベルダンディーはキスをしたということに驚きはしたが、不思議と嫌悪感は無かった。
それ以上に何故蛍一がここまで自分にしてくれるのかが解らなかった。
「森里さん…何故私のためにここまでしてくださるのですか?」
聞いてはいけないと思ってはいたが、聞かずにはいられなかった。
「なぜ…か。それは、俺がベルダンディーの事を好きだからだよ。」
蛍一は好きと言う事をはじめて言った。今までは面と向かって言えなかった事を。
「何故なんです?こんな何もかも忘れてしまっている私を、何故好きと言えるのですか?」
ベルダンディーは少し嫌になってきていた。
こんなに自分を思ってくれている人のことを思い出せない事に。
思い出せなくても良いと思い始めている自分に。
「もう、私のことは忘れてください。ごめんなさい、森里さん。」
ベルダンディーがその場を去ろうとした時、右腕を強く引き寄せられた。
「そんな事は…思い出せなくたっていいよ。俺は一緒にいられるだけでいいんだ。」
そう言うと蛍一はベルダンディーを抱き締めた。
「やめて下さい、森里さん!もう私のことは放っておいてください。」
珍しく声を荒げるベルダンディー。
「そうはいかないよ…放っておく事なんて出来ない。」
諭すように語りかける。
「私は女神失格ですね…あなたを幸せにする事が出来ません。」
俯き、もう神界に帰ろうと思ったその時、
「好きだよ、ベルダンディー…」
蛍一はそう言い、ベルダンディーに口付けた。
「んっ…」
突然の事に気が動転したベルダンディーだったが、
『なに…この感触…』
心の中がじんわりと熱くなるような、そんな感じがした。
「蛍一さん…この暖かい気持ち…私、信じても良いのですか?」
ベルダンディーが蛍一に聞く。
「やっと名前で呼んでくれたね。信じてくれ。俺はずっとベルダンディーの事好きだよ。」
蛍一はベルダンディーの目を見て言い、再びキスをした。
5.
夕闇から夜の闇に変わりゆく中、二人はいつもの場所にいた。
「ここはどこですか?蛍一さん」
見なれぬ場所に不安を覚える。
「ここはね、思い出の場所なんだよ…ベルダンディーと俺の。
そして、君が…ベルダンディーがここにいた証。」
そう言うと蛍一は目の前に飾られている写真を指差した。
その先には蛍一とベルダンディー、そして自動車部に所属する面々が写っていた。
写真の中にいるベルダンディーはとても生き生きとしていた。
「今は分かってくれとは言わないよ。
でも、いつかこの日のように笑える様になれれば良いと思う。」
蛍一はベルダンディーの目を見て言った。
「……はい、蛍一さん。」
蛍一の真っ直ぐな目にベルダンディーは胸が熱くなり、
気がつくとベルダンディーの目からは一粒の涙が流れていた。
そんなベルダンディーを蛍一は優しく抱き締め、唇を重ねていった。
「んんっ…」
ベルダンディーは先ほどまでとは全く違う胸の高鳴りを感じていた。
「蛍一さん…」
瞳を潤ませ蛍一を見つめる。
「これからすること…嫌だったら言ってくれ。」
蛍一はこれからはじめて及ぼうという行為に不安を覚えていた。
するとベルダンディーは、黙って頷き蛍一を促した。
はじめて触れる胸はまるで蛍一の為にあるかのように手のひらにおさまった。
とても柔らかく、そして張りのある感触に思わず力が入る。
「…っ!いた…」
ベルダンディーの顔が苦痛に歪む。
「ご…ごめん。初めてだから加減が分からなくて。」
蛍一が胸から手を離す。
「いえ、いいんです…続けてください。」
ベルダンディーはそう言うと蛍一の手をとり自分の胸に触れさせる。
蛍一ははじめはおっかなびっくりだったが、徐々に慣れたのか強弱をつけて胸を揉んで行った。
「…ぁ、あぁ…」
ベルダンディーの口から声が漏れる。
次第に乳首が立ち、痺れるような感覚が胸から全身に広がっていった。
「…!。あ…そ、そこは。」
何時の間にか蛍一の指はベルダンディーの秘所に触れていた。
下着の上からとはいえ、今までとは全く違う強い快感にベルダンディーは戸惑った。
そこは先程までの胸への刺激でしっとりと濡れていた。
「いや?いやなら止めるよ。」
蛍一はベルダンディーに嫌な思いはさせたくなかった。
「いいえ、いやじゃないです。続けてください。」
ベルダンディーははじめて感じる快感に戸惑ってはいたが、蛍一を思う気持ちが勝っていた。
蛍一の指が更なる快感をベルダンディーに与える。
その快感に秘唇はとめどなく愛液を流し、下着は濡れそぼっていった。
「ああっ…」
一際強い快感にベルダンディーは思わず声を上げた。
蛍一の指が下着を越え、直に秘唇を触れたからだ。
「凄い…濡れてる…それに熱い。」
蛍一はその下着の上からでは分からなかった感触に思わず声を出した。
「いや…言わないで下さい…」
ベルダンディーは高潮した顔を更に真っ赤にして言う。
しかし、長時間の快感に酔っているその目は『やめないで』と言っていた。
…クチュッ…ッチュ…
何時の間にかいやらしい水音がするほどベルダンディーの秘唇は濡れていた。
「いいかい?ベルダンディー。」
蛍一が最後にベルダンディーに聞いた。
「はい、蛍一さんの下さい。」
覚悟を決めたような目で蛍一を見つめるその目は、蛍一を信頼している目だった。
二人は服を脱ぎ、向かい合う。
蛍一はベルダンディーの素晴らしく均整の取れた体に更に男性器を硬くした。
蛍一は自分の男性器をベルダンディーの秘唇に添え、深く貫いていった。
「……ぁぁあああ。」
はじめて感じるその快感にベルダンディーは戸惑っていた。
「……っ、すごい…」
ベルダンディーの濡れそぼった膣壁の感触に蛍一は思わず女の子のような声を出してしまった。
しかし、この快感をもっと味わおうと激しく抽送する。
「あっあっあっ、蛍一さん…そんなにしたらおかしくなっちゃう!」
ベルダンディーはあまりにも強い快感に戸惑っていた。
しかし、我を忘れた行為に限界はあっけなく訪れた。
『ああ、もう駄目だ』
そう思い、男性器をベルダンディーの膣から引き抜く。
それと同時に激しく精液を放った。
「ご、ごめん…自分ばっかり気持ち良くなって…」
蛍一はすまなそうにベルダンディーに言った。
「いいえ、そんな事ありませんよ。蛍一さん。」
ベルダンディーはそう言うと天使のような笑みを見せてくれた。
『そうだ、この微笑があれば俺はどんなことだってできるさ』
蛍一は心の中でそう思った。