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すざくハンター
まさむね−O/文


 どさどさどさっ。ひっくり返したカバンの中からいろいろなサイズの本がこぼれ落ちて、ベッドの上に小さな山を作った。

 「さて、と。まずは整理からだな」

 そうつぶやいてから、工藤ススムは自分の部屋のベッドに座って1冊ずつ本を大きさ別に並べていった。

 小説、ムック、文庫本、それらの本には、たったひとつの共通点があった。

 ・・・『クトゥルー神話』関連。

 

 アザリンとすざくとの一件以来、ススムは自分の周りで起こっている出来事について、独自に調査を始めていた。

 その第一歩として、ナチャやニャアなどの関係者の名前や、

 彼らとの会話で出てきた『外なる神』などの意味不明の単語を学校のコンピュータ室の端末で検索し、

 関係ありそうな本を借りたり買ったりして集められるだけ集め、持ちかえったのだった。

 「うーん・・・。どれから手をつけるかな・・・」

 とりあえず整理を終えて、ススムは適当に本を選ぶとパラパラとページをめくった。小さい活字が、

 空白は悪だといわんばかりに並び、挿絵もほとんどない。別の本を開けても、中身は同じようなものだった。

 二十冊以上あるというのに、一冊読むだけでかなり気力・体力を消耗してしまいそうな気がした。

 「ま、はじめは簡単そうなのにしようかな」

 ススムは文庫本の山から二冊の本を取り出した。アニメ風美少女の絵が描かれた表紙は、

 他のものより簡単に読めそうに思えたので、ススムは今夜寝るまえにこの二冊を読み終えることにした。

 その本のタイトルは『邪神ハンター』

 

 「・・・・・・」

 ぱたん。邪神ハンターの二巻目を読破して、ススムは本を閉じた。顔は真っ赤に染まり、口と喉がカラカラに乾く。

 本の内容は、健全な高校生であるススムには刺激がかなり強かった。

 しかし、健全な思春期の性的欲求が文章と挿絵の強烈なセックス描写にひきこまれ、

 結局調査そっちのけで読み進んでしまったのである。しばらくぽーっとしていたススムだったが、ふと我に返ると、

 この危険な小説を机の鍵のかかる引き出しにしまいこもうとした。その時。

 こんこん。ベッドから起き上がろうとしたときドアがノックされる音が聞こえ、ススムは硬直した。

 「ススム、入るよ」

 すざく? なんでこんな遅くに!?

 『Hな本を持ってるところを女の娘に見られる』という高校生男子の大ピンチ上位ランクな危機がドアの向こうに迫っていた。

 すばやく本を枕の下に隠すと、ススムは

 「い、いいよ」

 と答えた。それと同時にドアが開けられ、すざくが部屋に入ってきた・・・。

 ススムのシャツ一枚というあられもない姿で。すこし大きめのシャツが、豊かなバストを包むために上に引き上げられてしまい、可愛いパンツがすそからちらちら覗いている。

 いや、それどころか胸のさきっちょの形がうっすらと・・・。

 ぶんぶんぶん!!

 邪念を振り払うように頭を左右に激しく振るススム。そんなススムの行動を見て、すざくは

 「眠いの?」

 と尋ねた。

 「うん、少し。それよりすざく、なんか用?」

 「・・・今日、ゴハンの日でしょ? でも、ススム、勉強してるみたいだから今まで待ってたんだけど・・・」

 すざくはそこまで言うと、頬を赤らめ、上目使いでススムの眼を見つめながら

 「今日、いい?」

 と聞いた。そのあまりに愛らしい仕草に、ススムは反射的に頷いてしまう。すざくはそのまま

 ススムの右側に近づくと首に右手をまわして抱きついた。そして、そのまま身体を密着させて首筋にそっとくちづけた。

 

 「あ・・・」

 体にこびりついた重い疲れやだるさが一気にぬけていく心地良さに、思わず声が漏れる。

 いつもならこれだけなのだが、頭に残る邪な気持ちが別の感覚をススムに伝える。やわらかな唇の感触、

 髪からほのかに香るシャンプーの香り。さらに、右手に押し付けられた、ふくよかな胸の弾力・・・。

 学校で抱きつかれたときの、制服やブラに包まれたぴっちりとした感じとはまるで異なる、

 ぷりぷりとしたたまらない柔らかさが薄いシャツごしに伝わって、ススムの心臓の鼓動を加速させる。

 しばらくしてからすざくが『食事』を終えて唇をはなすころには、ススムの顔はトマトのように

 真っ赤になっていた。そんなススムの顔を見たとたん、すざくの顔も赤く染まった。話し掛けたい、

 けど話し掛けづらい、そばにいたい、けどなんだか気恥ずかしい・・・。そんな思いが二人の間の

 空気を変えていく。どうしようかとススムが迷っていると、すざくが口を開いた。

 「あ、あの・・・。も、もう遅いから、ボク、寝るね」

 「う、うん」

 「あのね・・・、いっしょに寝ていい?」

 どっくん!!!

 心臓が、一瞬止まった。反射的に拒絶の言葉が口をついて出た。

 「だ、駄目!!」

 その言葉を聞いたとたん、すざくの表情が暗く翳った。が、すぐにいつもの笑顔に戻ると

 「ゴメンね、ススム。・・・じゃ、おやすみ」

 どこかぎこちなく微笑んで、すざくは部屋を出ていった。ススムはすざくを引きとめようとしたが、

 なぜか、声は出なかった。ばたん、とドアが閉じると、ひどい罪悪感がこみ上げてくる。

 「何やってんだろ、オレ・・・」

 すざくに陰の気を吸いとってもらったはずなのに、なんだか体が重く感じる。明日の朝一番にすざく

 に謝ることにして、ススムはベッドに潜り込んだ。自分でもわけがわからない気持ちを押さえ込むように。

 

 暗い闇のなか、ススムはひとり漂っていた。だが、暗闇の中なのにモノを見ることができたし、

 手や足や、それどころか自分の体が実感できないというのに望みの方向に移動することもできた。

 異常な状況下でも、ススムはひどく落ち着いていた。

 『これ、夢なんだな・・・』

 不安感もなかったし、なんだかこうして水母のように漂っていると、いやな気分も溶けてなくなって

 しまいそうな気がした。

 「あれ、ススム?」

 不意にすざくの声が聞こえた。声のした方を見ようとすると、いつのまにか少し離れたところに

 すざくが立っていた。・・・一糸まとわぬ姿で。

 とっさにススムは眼をつぶろうとしたが、できなかった。『まぶた』も『手』もなければ目をふさぐ

 ことはできない。いや、それ以前に『眼』がどこにあるかも分からないのだから。見ちゃいけないと

 いうススムの思いに反して、眼は貪欲にすざくの肢体を見つめ続けてしまっていた。着やせするタイプ

 なのか、思っていたより一回り大きな乳房、肉付きのよい身体、しなやかな両足の根元の、ふっくらと

 ふくらんだ恥丘と淡い茂み・・・。それら全てがススムの視線を引き付ける。一方、すざくの方も

 ススムをじっと見つめていた。

 「ススムだよね。ススムも遊びにきたの?」

 遊び相手が見つかって嬉しいといわんばかりの笑顔で、すざくはススムに話し掛けた。

 「んー、なんて言うか・・・。気がついたらここにいたんだ」

 そう言おうとしたが、『口』がなければ言葉にならない。しかし、すざくには理解できたようだった。

 「そうなんだ。でもすごいね、ススム。『ぎんのかぎ』もなしに来れるんだ」

 そう言って、すざくは地面、・・・というより『硬い感触のする空』に座り込んだ。すざくの視線

 がずっと下向きだったということは、今の自分の顔は下のほうにあるんだろうか?。ぼんやりと

 そんなことを考えていたススムだが、ふと寝る前のことを思い出した。

 「ごめん、すざく。その、やっぱいっしょに寝るっての、ダメなことはダメなんだけど、すざくが

 悲しそうで・・・。と、とにかく、ごめん」

 なにがなんだか分からないススムの謝罪を聞いて、すざくの顔がぽっと赤らんだ。

 「ありがと、ススム。気にしてないから、ボク」

 心底うれしそうな照れ笑いを見ていると、ススムはここが夢でもどこでもいいような気がした。

 すざくが裸でいることだってどうでも・・・、裸!?。

 

 心に余裕が生まれると、改めてすざくの裸身が気になってくる。いわゆる体育座りの格好で座って

 いるすざくの両胸は、両膝に支えられてぷにゅんとピンクの乳首といっしょに上を向いていた。少し

 開いた両足の間には、黒い茂みとその奥の秘裂だけでなく、かわいらしいお尻の秘孔まで見え隠れ

 している。眠っていた劣情がむくむくと膨れ上がるのに合わせるように、ススムは自分の身体が

 うねり、変形していくのを感じた。

 しゅるっ、しゅるるるっと鞭のように伸びた体は、次々にすざくの身体に絡み付いていく。左右の

 手首に巻きつくと、両腕をぐいっと上に引っ張り、腕を伸ばした状態で両手首を縛り上げる。両脚

 はひとまとめに押さえつけられ、動きを封じられる。そして、宙吊りになったすざくに無数の触手

 と化したススムの肉体が襲いかかった。すざくのすらりと伸びたしなやかな両手足を、きゅっと

 ひきしまった、余分な肉のないお腹や脇腹を、豊かな黒髪に隠された背中の上をでたらめに動きまわる。

 「きゃははははははっ、く、くすぐったいよ、ススムぅ。あは、あはははは、ダメ、ダメえっつ!!」

 よほどくすぐったいのか、大声で笑いながら身をよじると、お尻のあたりまである髪が左右に揺れる。

 一方、ススムの方もとんでもない状態になっていた。触手がすざくの肌を這いずるたびに、すべすべ

 した肌の感触や甘い体臭、暖かな温もりといった五感すべての感覚が伝わり、言葉が出ないほどの快感が電流のように全身をかけめぐっていく。

 それでも触手はススムの意思に反して蠢き続ける。

 「きゃは、きゃははっ。・・・ひゃンっ!」

 乳首を触られたすざくが甘い悲鳴をあげると、触手の動きが止まった。

 透き通ったゼリーのような触手の半分ほどがどろりと溶けて、すざくのなめらかな肌を流れ落ちる。

 数本の触手は互いにからみあい、溶け合って太い一本の触手に変わった。やがて変形が終わると、触手達は再び動き始めた。

 

 細い触手がすざくの脇腹や背中をさするように這いまわる。ぴくん、とすざくの身体が反応すると、

 そこを何度もなぞり続ける。太めの触手が二本、胸の谷間を通って乳房の根元に巻きつき、左右に広げるように締め上げる。

 そして、その横腹をワイパーのように動かして乳房の形を確かめるように撫で回す。

 「ん・・・。だめぇ、ススムのえっちぃ・・・」

 拒絶や嫌悪がまったく感じられないすざくの声。すざく、嫌がってない・・・。

異様な快感に苛まれるススムにも、その声ははっきり聞き取れた。

 自分はすざくにひどい事をしている、という罪悪感がやわらぐと、触手の動きはより大胆になっていった。

 すざくの両胸に三重に巻きつくと、やさしく揉みほぐすように締め付ける。むにゅっ、むにゅうっと締められると、

 形のいい乳房がろくろの上の粘土のように変形していく。

 すざくの双乳がぷりぷりと踊るたびに、触手から伝わる乳肉の感触が『すごく柔らかい』から『柔らかくて、むっちりもっちりした弾力のあるもの』に変わっていった。

 そして、まだあまり手のつけられていなかった恥丘に触手が伸びると、両腿と恥丘の間のわずかな隙間に入りこみ、ずるりと股間を責めたてた。

 「うあっ!」

 「ふぁぁん!!」

 触手が股間のスリットや尻肉の割れ目にあわせて形を変え、前と後ろの秘所に密着しながら前後に

 動く感触と性感に、二人の口から悲鳴にも似た喘ぎが漏れる。はじめて味わう『えっちな気持ち良さ』

 にとまどいながらも、すざくは懸命にそれを受け止めていた。しかし、ススムの声が聞こえたことで

 改めて、自分がススムに『えっちなこと』をされているということを認識すると、さらなる快感が身体の奥から溢れ出してくる。

 ススムが、ボクのおっぱい、ぷりゅぷりゅしてる・・・。せなかとか、おしりとか、耳のうしろとか、

 いっぱいさわってる。あそこも、すりすりして気持ち良くなってる・・・。そう思うだけで、すざくの乳首や秘裂の奥に熱いものが漲ってくる。

 「ボクも、気持ち良くしだげるね。ススム・・・」

 そう言うと、すざくは軽く手を引っ張った。それだけで拘束されていたはずの両腕が縛めから開放される。

 そして、耳の後ろや頬を撫でていた触手にそっと触れると優しく撫でまわす。びくん、

 びくんと手の中で震えるそれにほお擦りしてから、すざくはいとおしげに先端を口に含んだ。

 口の中で暴れるものを軽く二、三度吸ってから一旦口をはなし、今度は横腹にキスしたまま唇を

 横にすべらせる。その行為は、ススムの欲望を限界まで高めるのに十分だった。

 「すざくっ!」

 両足を縛る触手が姿を変えて、片足ごとに絡み付くと、両足を開かせる。あらわにされた股間を

 擦る触手の先端が男性器のような形になると、すざくの秘裂に頭を埋めて、下から上に割り開く。

 それだけで蜜がとろりと流れ、偽の亀頭を濡らす。そのまま上下に動いていた触手の先端が、

 蜜を生み出す膣口に触れる。触手がすざくを貫こうとしたそのとき、

 「ダメぇっ!!」

 すざくの両手が触手を掴み、性器から引き抜いた。

 

 「・・・すざく?」

 不意にお預けを食らったススムが思わず不満の声をもらす。

 「ゴメンね、ススム。でも、ボク、ほんとのススムがいいの・・・」

 消え入りそうな声で、すざくがそうつぶやくと、ススムはその意味を理解した。そっか、人間の姿

 のオレでなきゃ嫌なんだ・・・。でも、どうしたら・・・。涙を流してゴメンねを繰り返すすざく

 を見ていると、なんとかしてやりたいという気持ちが湧き上がってくる。すざくの涙をぬぐって

 やりたい、思いきり抱きしめてやりたい。狂おしいほどすざくが愛しい。ススムは心底そう思った。

 「ススム・・・・・・」

 耳元で、すざくの声が聞こえた。うれしそうな、満足そうな声が。

 気がつくと、ススムは人の姿になって、すざくを抱きしめていた。

 

 「すざく・・・」

 疑問もなにも考えず、ススムはすざくの髪に指を這わせる。頬を摺り寄せ、何度もすざくの名を

 ささやく。ススムの性器は痛いほど堅く屹立していたが、すざくと抱きしめあっていると、不思議に苦痛は感じなかった。

 すざくの前髪をかき上げて、そっと唇を重ね合う。もう言葉はいらなかった。何度も何度も唇を合わ

 せるだけのキスをしながら、ススムは左手ですざくの胸に触れた。右胸を軽くぷにぷにとさわって

 から、左胸を揉みしだく。指を弾かんばかりの弾力をたっぷりと楽しみながら、指先でぷくんと

 膨らんだ乳輪をさすり、堅く尖った乳首をつつき、引っ張る。

 「ひゃん!」

 熱い吐息とともに、すざくの身体がぴくんと跳ねる。その様子に気をよくしたススムは、すざくの

 全身にキスをした。赤いほっぺや首筋にキスしてから、右胸の先のピンク色をした部分すべてを

 口にふくんで、乳首を唇でふにふにと押さえ、舌で乳首の先端を舐め回すと、尖りきったはずの

 乳首がさらに一回り大きく勃起した。

 「ススム、ススム・・・」

 ぎゅっとススムの頭を抱きしめて、自分の胸に押しつけるすざく。その手の力がゆるむまで、ススム

 は胸を吸い続けた。しばらくしてから、ススムはそっと頭を動かしてキスを再開する。可愛いおへそ

 に、おしりに、手足の指に・・・。おしりの谷間に隠された扉に軽くキスしてから、最後に残った

 恥丘の花びらを広げ、花芯と、上端にある肉芽に口付けると、すざくは軽い絶頂に達した。

 「あはぁっ!」

 鋭い喘ぎとともに、愛液が膣内から溢れ出す。

 「すざく・・・。オレ、すざくが欲しい」

 「いいよ、ボク、ススムのこと『だいスキ』だから・・・。ススムなら、いいよ。ボクのおなかのなか、ススムの『だいスキ』でいっぱいにして」

 すざくの言葉を聞いてから、ススムは先走りの汁で根元まで濡れた性器を、すざくの膣口にゆっくり

 と挿入した。痛くしないように、ゆっくりと、ゆっくりと。しかし、すざくの濡れた粘膜の与える

 快楽は、想像以上だった。

 「うああぁぁ!」

 亀頭が完全に飲み込まれたところで、膣壁の強く、熱い締めつけに耐え切れず、ススムは一気に

 すざくを貫いた。純潔の証が引き裂かれ、ひとすじの赤い血がつうっと流れ落ちる。

 「ご、ごめん、すざく。気持ち良すぎて、オレ・・・」

 そこまで言ったところで、ススムはすざくの涙に気付いた。

 「す、すざく、痛かったか?」

 「ううん、だいじょうぶ。嬉しいんだ、ボク」

 はじらいと喜びのまじったすざくの笑顔が、決して無理をしているわけではないことを物語っていた。

 「じゃ、すざく。・・・いくよ」

 ひとつに繋がったまま、すざくの額に軽くキスをしてから、ススムはゆっくりと腰を使い始めた。

 閉ざされていた膣壁を押し広げながら、すこしずつ奥へ、奥へと進んでいく。二人の濡れた粘膜が触れ合い、

 絡み合って、淫靡な水音を響かせる。すざくが両足を組んでススムの腰にしがみつくと、

 ススムはそれに答えるようにすざくを貫き続ける。奥へ、奥へと進んでいくススムのペニスが

 すざくの子宮口をこつん、とノックするたびに、膣壁がきゅうっと吸い付くように締まって、二人を高みに導いていく。

 「ススム、ススムぅ、ボク、ボク、もう・・・」

 「すざく、すざくっ!」

 お互いの名を呼びながら、こみ上げてくる絶頂感に耐えていた二人だが、ススムがひときわ深く性器を突き立てると、ついに限界に達した。

 「うああぁぁぁぁぁっ!」

 二人の声がひとつに重なり、腰ががくがくと震える。すざくの熱い愛液が流れ出すのを感じながら、

 ススムは、すざくの胎内に大量に精液を注ぎ込んだ。これまでにない絶頂感と満足感に包まれて、

 二人はお互いのぬくもりを確かめるように、かたく抱きしめ合った。いつまでも、いつまでも・・・。

 

 PI・PI・PI、PI・PI・PI・・・。

 無機質な電子音が部屋に鳴り響くと、ススムはゆっくりと上体を起こした。状況が飲み込めないまま

 ぼーっとしていたが、しばらくすると、そっと枕の下から本を二冊取り出した。昨夜あわてて隠した

 『邪神ハンター』である。こんな本、枕の下にしいて寝たから、あんな夢見たのかな・・・。そんな

 ことを考えていると、夢の中のすざくの痴態が脳裏に浮かぶ。

 「だああああっ!!」

 パンパンと両頬を叩いてエロエロなイメージを無理やり追い出すと、ススムは時間を確かめた。午前十一時二十分。

 目覚ましをセットしそこねていたらしい。今日は日曜だし、クラブも予定も特にないが、

 もう眠気もないので、ススムはとりあえず一階に降りて顔を洗うことにした。

 すざくに昨日のこと謝らないとな・・・、などと思いつつ、顔を洗い、髪型を整えていると、

 食欲を刺激する香りが鼻腔をくすぐる。魚や肉の焼ける匂いに、バニラエッセンスの甘い香りを楽しんでいたとき、

 ススムはふとあることに気付いた。匂いの種類があまりに多すぎる。二、三品料理を作った程度では、

 ここまでの匂いにはならない。そういえば、日曜の朝はたいていすざくが起こしにきて、

 遊びに誘ってくるのに、なんで今日は!?

 あわててキッチンに向かったススムが見たものは、テーブルに所狭しと並べられた料理の数々だった。

 鯛や海老のおかしら付きに、七面鳥の丸焼き、その他もろもろの縁起の良い料理の皿が、テーブル

 中央に陣取っている特大のケーキの周りに並び、ご丁寧に三段重ねのケーキのてっぺんには、ススム

 とすざくを模した人形が飾られている。

 「おはようございます。ススムさん」

 「あ、お、おはようございます」

 エプロン姿のナチャは、にっこり微笑んで、こう付け加えた。

 「もう少し待っててくださいね。お赤飯が炊けたら、ご飯にしますから」

 ススムの顔から一気に血の気が引いていった。もしかして、もしかしたら、昨日のあれは・・・。

 「ススム・・・」

 びっくん!

 後ろからすざくに呼びかけられて、ススムは硬直した。

 「すざく・・・。あの・・・」

 「これ? ・・・ボク、恥ずかしいけど、ナチャがお祝いだって」

 ぽっと頬を染めて指を『もぢもぢ』させていたすざくだったが、その表情が不意に暗くなる。

 「ススム、聞いていい?」

 「な、何!?」

 「うん。昨日のことだけど・・・、ボク、ススムとひとつになって、それで、ススムに決めてもらわなきゃいけないんだ。

  ずっといっしょにいるのか、それとも・・・」

 それだけ聞いたところで、ススムはすざくが何を言いたいのか理解した。やはり、昨夜の出来事は夢じゃなかったんだ。

 そして、すざくを抱いたことで、すざく達の間でなにかがあって、オレが決めなきゃいけなくなったんだ。

 いっしょに居続けるか、それとも・・・。

 ススムは、じっとすざくを見つめた。続きの言葉が言えずに、眼に涙をいっぱいにためて、

 それでも懸命に言葉を紡ごうとするその姿を見ていると、ススムは心の中からわだかまりや迷いを押しのけて、

 すざくへの思いが湧き上がるのを感じた。

 「すざく」

 びくん! と、今度はすざくが硬直する。

 「ずっと、いっしょに居てくれ。・・・オレのそばに、ずっと、ずっと一緒に」

 すざくの瞳から、ひとすじの涙が流れると、沈んでいた顔がぱっと笑顔に変わる。

 あふれる涙を拭いもせずに、すざくはススムの胸に飛び込んだ。

 「ススムぅ・・・」

 あとは、声にならなかった。胸に顔をうずめて泣きじゃくるすざくを、ススムは優しく抱きしめた。

 満足そうな笑みを浮かべたナチャが、そっとキッチンを出ていったのにも気づかずに、二人は

 お互いの思いを確かめ合うように、そっと唇を重ねあうのだった。

 

 終

 


解説

 みなさん、おひさしぶりです。まさむね−Oです。

 今回もまた、月触の二話ではありません。楽しみにしていた人(いてくれてるよね・・・一人くらい)

 ごめんなさい。でも、仕方ないんです。二話目を書く前に部屋を片付けていたときに、

 エンフォの単行本と邪神ハンターを並べて本棚にしまったとたん、室内のゲッター線濃度が急激に上昇して、

 【以下、電波文書につき削除】

 次こそは、月触の続きを書きますので、もう少しだけお待ちください。

 PS:エンフォといい、邪神ハンターといい、ウィズメイド・エンジェルといい、ほんと、最近のクトゥルーものは壮絶ですなぁ。

 いろんな意味で。エンフォの読者でクトゥルーを知ってる人はどれくらいいるんでしょう?

 


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